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機動戦士ガンダム外伝THE BLUE DESTINYについて取り扱うブログです。ブルーディスティニーに関するいろいろなコラムを書いています。

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HOME[PR]ブルー・書籍千葉智弘短編小説 その3:蒼を受け継ぐ者

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千葉智弘短編小説 その3:蒼を受け継ぐ者

2009-09-11-Fri 01:20:32 │EDIT
『覇王ゲームスペシャル[71] 機動戦士ガンダム外伝Ⅱ 蒼を受け継ぐ者
 テクニカルガイドブック』

より、千葉智宏氏によるオリジナル短編小説「蒼き騎士の探求」をお送りします。




ニムバスの視点でストーリーは進み、
ゲーム本編、マンガ版、小説版とも違うニムバス像が伺えて、
なかなか面白い話になっています。
プロローグ+エピソード1~4の計5章のうち、
今回はプロローグとエピソード1を紹介します。


-----
プロローグ

クルスト博士が”EXAMシステム”を持って
連邦に亡命した、その3日後。
私、ニムバス・シュターゼンはジオン軍ニュータイプ研究機関、
”フラナガン機関”の警備隊長より、命令書を受け取っていた。

キシリア閣下より直接下された、A級極秘命令。
『亡命したクルスト博士の拘束…もしくは殺害。
 ”EXAMシステム”搭載マシンの奪取…もしくは破壊』

クルスト博士はその理論の異端性からフラナガン機関内でも冷遇されており、
ろくな研究施設も与えられていなかった。
そして、研究成果である”EXAMシステム”も、上層部には欠陥品の烙印を押されていたため
「実用化のめども立たないシステムなど、連邦にくれてやってもいい」
というのが警備隊長の本音であった。
が、ニュータイプ関連技術は軍の極秘事項であり、その流出には違いないため
上層部が慌てるのも無理はなかった。

隊長は「作戦成功の暁には最前線に戻れるよう取り計らってやる…」と話し、
私の過去に触れる。
かつて私は、ある戦闘中に退却命令を出した隊長機を破壊し、戦闘を継続。
敵を撃退するも味方も全滅させてしまった。
それが原因で、冷遇される研究所に左遷されたのだ。

しかし、あの局面で退却してしまったら、後続の部隊が背後を敵に晒すことになる。
自分の判断は正しかった、と主張するも
「”騎士”を自称する、君らしい立派な御意見だな…」
と、警備隊長は皮肉を返す。
私は、感情を殺した表情でそれを受け流し、部屋を退室した。
しかし、内心は怒りに満ちていた。
<『最前線に戻してやる』だと?要するに、クルストともども厄介払いがしたいのだろう…>

下衆な男だ…。
そして、それより許せないのがクルストだ。
自分が命を削って集めた”EXAMシステム”のデータを持ち去り、
ジオンを、自分を裏切り、連邦に寝返ったのだ。
拘束などしない。必ず見つけ出し、八つ裂きにしてやる。
騎士としての誇りにかけて…

---
1.対決

諜報部の情報から、連邦の”EXAM”マシンを積んだ輸送機を発見。
撃墜するも、墜落ポイントには何も知らない友軍のザク隊が先回りをしていた。
任務の秘匿性ゆえ、隠密行動を要求される私にとっては
邪魔者以外の何者でもなかった。
最悪、”EXAM”マシンに気づかれた場合、
たとえ友軍であろうと撃破しなければならない。
やるなら、油断している今しかない。
手に汗が滲む…迷うことはない、これは任務なのだ。

その時、墜落現場に現れた連邦軍が攻撃を仕掛けた。
不意を打たれ、友軍はあっさり全滅。
なんと不甲斐ない…。ザク隊への怒りが沸く。
しかし、これで姿を隠す必要も無くなった。
連邦相手なら、何のためらいも無い。
「”EXAM”の名の下に、お前らを葬り去ってやる!」
愛機、イフリート改を駆り、私は連邦のジム隊に襲いかかった。

イフリート改は、推力だけならジオンでも
トップクラスの性能を誇る。
並大抵の操縦技術で扱える代物ではなく、
私の操縦と、”EXAM”システムのサポートをもってして、
恐るべき性能を発揮することができる。
私は1分もたたないうちに、3機のジムを撃破した。
連邦軍とは、この程度のものなのか?
腰抜けのパイロットに、脆弱なモビルスーツ。
こんなものを手に入れるために祖国を、そして私を裏切ったのか?
クルストへの怒りが湧き起こる。
次々と敵機を撃破する中、1機だけ手ごわい相手がいた。
”EXAM”の動きに食らいつくジム…
こいつに手間取るうち、連邦の援軍の接近をキャッチした。
その数、10機以上。
既に戦闘が始まって3分が経過していた。
残り2分の稼動時間で奴らを相手にするのは、いささか不利だ。
「クルストよ、次に会うときが貴様の最後だ!」
私は撃墜した輸送機を残し、いったん退却をした。

-----
◆プロローグより
地球へ降下する直前のニムバスの様子が描かれます。

・隊長殺害のエピソード
 ニムバスのキャラクター紹介につきものの
「撤退命令を出した隊長を殺害」というエピソードについて
 少しだけ詳細に語られています。

 マンガ版・小説版などからくる従来のニムバスの人物像では
 「それでもジオン軍人か!恥を知れ!」といった理由で
 隊長機を撃破したイメージがありますが、
 短編小説版ではもっと別の理由が語られます。

 「隊長を殺害してまで撤退するわけにはいかなかった理由」として
 「後続の部隊の危険にさらさないため」とあります。
 これを”味方のための自己犠牲”とするならニムバスは本当に騎士道精神に従って
 行動した、と言えます。

 従来の人物像である「強烈な自己正当化から騎士を自称するニムバス」
 ではない、ちょっと新鮮なニムバス像が伺える興味深いエピソードとなっています。

・警備隊長とニムバス
 警備隊長は、EXAMシステムを未完成なシステムと見てますが、
 対するニムバスはシステムと、搭載した機体は十分に機能するものだと
 反論する場面があります。
 とにかく、この二人は仲が悪い。
 ニムバスが厄介者扱いされていた様子が伺えます。

◆1.対決より
・友軍機への攻撃というシチュエーション
 輸送機確保のため、友軍機を撃破するべきか、否かという状況に陥ります。
 漫画版、小説版ではアッサリと友軍を撃破したニムバスですが、
 短編小説版では葛藤する場面、そして「これは任務だ」と、
 自分に言い聞かせる場面があります。
 これも、従来の人物像と違う面ですね。
 …かつて隊長機を攻撃したときも、このような葛藤があったのだろうか?
 ニムバスでそんな妄想をしてみるのも、ちょっと新鮮な感じです。

・EXAMのサポート
 EXAMシステムは、具体的にどのような働きをするのか?
 いまいち明かされない要素ですが、それについても
 少しだけ詳細に描写があったので、それを抜粋してみます。
『イフリート改のヒートサーベルは、その武器そのものの威力は、
 グフのヒートサーベルと大差ない。
 しかし、わたしの操縦テクニックに”EXAMシステム”の
 サポートが加わることにより、剣をふる角度、スイングするスピードが
 もっとも威力の高まる形になる』

-----
短編小説版のニムバス像はどこまでオフィシャルなのか?…というのはさておき、
新たな人物像が次々見えてくるので、なかなか面白い内容となっています。
次回はエピソード2と3を紹介予定。
なんと、マリオンを心配して気遣うニムバスが描かれます。
お楽しみに…。

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「機動戦士ガンダム外伝 ブルーディスティニー」や一部ガンダム外伝系のネタを取り扱ってます。設定の考察よりも、設定の成り立ちや変遷を追ってます。まあ、参考程度に。

一年くらい更新を休んでましたが戻ってきました。

過去記事のは「カテゴリー」の「記事インデックス」、もしくはそれぞれの項目を参照。セガサターンソフト「機動戦士ガンダム外伝」の情報及び過去のブルー関連フィギュア、カード(2004年頃まで)についてはHP:蒼色一号を参照のこと。
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