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機動戦士ガンダム外伝THE BLUE DESTINYについて取り扱うブログです。ブルーディスティニーに関するいろいろなコラムを書いています。

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2024-03-29-Fri 18:42:07 │EDIT
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2008-12-19-Fri 02:08:00 │EDIT
前回までで、漫画版ブルーのストーリーはおしまい。
今回は、一連の特集についての余談をまとめて掲載です。

◆マリオンの語りかけ
原作ではほとんど設定上のみの存在だったマリオンですが、漫画版では早い段階から登場。ユウの意識に語りかけています。
この”マリオンがパイロットの精神に作用する”というマリオンの行動は皆川ゆか小説版にも見られています。

※※※
漫画版では、EXAMに封じられたマリオンの意識というよりも、どこかにいるマリオン本人の意思がEXAMを介して語りかけた、という感じ。
小説版では、EXAMに封じられたマリオンの意識、その一部の感情のみがユウに流れ込むといった感じ。
漫画版と小説版で若干違いがありますが、ここでは”パイロットの精神に作用する”という要素のみに注目しています。
※※※

原作ゲームでは”機体性能を大幅に引き出すが暴走の可能性がある危険なOS”という、やや漠然とした設定であるEXAMシステムでしたが
漫画版や小説版にて、EXAMシステムは”マリオンがパイロットの精神に作用する”という要素が加えられ、マリオンのキャラクター性と、EXAM自体の設定に幅がつけられています。
(※余談1)

原作ゲームにおいて、設定上は重要だがゲーム作品である都合のため本編には登場しなかったキャラクターを、どうやて漫画・小説といった媒体で絡ませるか?
それを考えれば、マリオンにこのような設定が加わるのは自然なことだろう。
しかし、それが効果的に作用して物語に深みを与えているのは、高山氏・皆川氏の見事な手腕によるものだと言える。

このことはGジェネレーション等、後のゲームでも反映され、ブルーのシナリオの味付けとなっています。
現在、ブルーの設定として認識されている”EXAMを介してのマリオンの精神的な語りかけ”という要素は、それら後のゲームによって広く認知されたものであり、その源流を辿れば、漫画・小説版に行き着く。
もともと原作ゲームに無い要素が公式設定としてフィードバックことが多い”ザ・ブルーディスティニー”ですが、この”EXAMを介してのマリオンの精神的な語りかけ”も、その一つに挙げられると思います。

◆オートパイロット?
第5話「覚醒」にて、ブルー1号機はユウの叫びに反応して起動、ニムバスを撃退。これは、ただの暴走とは違うものとして描かれています。
以前の紹介では、マリオンがブルー1号機を介してユウを助けた、と書きましたが
実際のところ、この時のブルー1号機の行動は、いったいなんだったのだろうか?

ニュータイプにとって距離という概念は無く、どんなに離れていても意識は通じるというのはファースト・ガンダムからあったもの。
それこそエルメスのビットのように、マリオンがブルーを遠隔操作で動かしたのだろうか?
ん?MSの操作はビットより複雑だって?
…ごもっとも。
じゃあ直接操作したのではなく、遠隔でオートパイロットの迎撃システムを作動させただけなのか?
それでも理由としては弱いか…。
この、”ただの暴走とは違う、ブルー1号機の起動”については答えが描ききれないうちに漫画が終わってしまいました。
どんなものだったのかは、結局、読者の想像にまかせるほかありませんね。
(※余談2)

◆その他の形式のコミックス
漫画版ブルーは、実は5種類の単行本が存在します。
以前紹介しました2冊に加え、残りは
1つは、いわゆるコンビニ本として発売されたもの。
1つは、海外で発売された英語版、そしてドイツ語版の計3冊があります。
詳しくはこちらのサイトを参照のこと。
手元にコンビニ本があるので、簡単にそれを紹介します。


こちらは2003年に発売された”コンビニ本”のブルー。
特に書き下ろしは無し。
各話の収録分は同じ。余白ページのイラスト&コメント収録、あとがきは無し。

◆不完全なところ
コミックス収録分は、雑誌掲載時の原稿より、左右が若干切れています。
比較として、↓の画像を用意しました。

左より雑誌掲載分、旧バージョン、新装版、コンビニ本のそれぞれの同一シーン。
雑誌掲載時の、ビッグトレーとそれに乗る左側のジムで比較すると、わかりやすいでしょう。
ものによってバラつきがあります。これは、それぞれの本の規格サイズの違いが原因なんでしょうか?
雑誌掲載時に一番近いのはコンビニ本といえますが、それでも切れている部分は大きい。
残念ながら、雑誌掲載分そのままのバランスで収録されたものはないようです。

うーん…完全なバランスで収録した、という意味でも”完全版”が欲しいところです。

-----
※余談1
オカルトな要素のため、SF的な世界観のガンダム・シリーズでは若干浮いた要素にみられがちですが、それでも、原点である「機動戦士ガンダム」のニュータイプ描写の範疇のため、これはこれで良し、ではないでしょうか?
ただし、”機械(もしくはCPU)に意識が封じ込められる”という要素については、この限りではないかもしれません。
あ、でも「ガンダムセンチネル」のALICEシステムも似たようなものか?
いやいやアレは人工知能だからまた違うか…

※余談2
正直なところ、この展開については、いわゆる”イヤボーン”みたいで個人的にはちょっと安易さを感じるところです。
でも、コマごとに描かれる断片的に描かれたユウの過去がフラッシュバックする見開き1ページは好き。
特に、結婚するエイミーの横顔のコマ。
幸せなはずのにどこか寂しげな表情が気になっていて、おまけページのコメントを読んで「なるほど」と納得。
いい1コマを描くなぁ~と、勝手に悦に浸ってしまいます。

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2008-12-11-Thu 00:56:30 │EDIT
「バニングス・リポート 蒼の残照」

U.C.0079 12月。
星一号作戦が発動し、連邦軍によるソロモン攻略戦が開始されようとしていた頃、
1機のシャトルが地上のジオン基地から打ち上げられた。
シャトルの目的地は、戦略的価値の無いはずの廃棄コロニー。
地球から撤退するジオン軍がソロモン、あるいはア・バオア・クーへ終結しつつある状況で
その動きを不信に捉えた連邦軍は、サウス・バニング中尉を廃棄コロニーの調査に向かわせる。

バニングは部下のベイト少尉、モンシア少尉らと共に”ジム”でコロニーに潜入する。
そこで彼らが見たのは、破壊された、多数のジオンのモビルスーツだった。
しかも、その残骸にはビームサーベルによる傷跡があった。
友軍機によるものなのか?そう思いながらも危険を感じるバニング。
その時、近くで爆発が起きる。
炎と煙の中に浮かぶ1機のMSの影。攻撃を加えようとするモンシアを制し、機体をよく見ると…
それは、ガンダム・タイプのモビルスーツであった。
こちらを向く、”ガンダム”
そこへ、通信が入る。
「ユウ!ヤツだ!2号機は外にいるぞ!!」
(ユウ…?それがパイロットの名か?これをあいつが1機でやったというのか?)
通信を受けた”ガンダム”は、コロニーの外へ飛び出していく。
それを追う、バニング。

そして、彼らはコロニー片の漂う宇宙空間で戦う、2機の”ガンダム”を目撃する。
1機は白、もう1機は蒼。
カメラが追いつかない程のスピードで繰り広げられる、激戦。
それはまるで戦うこと自体を楽しんでいるかのようだった。
もはや『戦争』でなく『決闘』。
その様子に、バニングは戦慄する。

白いガンダムのビームライフルが蒼い機体を撃ち抜く。
そして、爆発寸前の蒼いガンダムは白いガンダムに掴みかかり、双方が大爆発をした。

帰艦したバニングは報告書を上官に提出する。
「それで、勝ったのはどちらだったのかね。ムサシか?コジローか?
「それが、双方とも爆発してしまいまして…相打ちかと」
それを聞いた上官は報告書をシュレッダーにかける。
「バニング君。このことは他言無用だぞ わかったな?」
艦隊は、ソロモンへ向かう。
戦いは続く…。

-----
「バニングス・リポート」は1998年に「株式会社スタジオDNA」より出版された、
「機動戦士ガンダム ギレンの野望 コミックアンソロジー」に収録されました。




高山瑞穂氏によって描かれたものであり、漫画版ブルーディスティニーの最終回といえます。
ストーリーは、原作ゲーム「裁かれし者」のステージ4,5が下地となっています。
EXAM事件には関係の無い、サウス・バニングという第3者からの視点で見る「裁かれし者」。
そのため、作中では「ブルーディスティニー」という単語は登場せず、あくまで「ガンダム」と呼ばれます。
こういう構成もなかなか面白いですね。

◆高山瑞穂版「ザ・ブルーディスティニー」の結末、その断片。

ユウ、ニムバスらの戦闘中の会話もあります。そのすべてを抜粋してみましょう。
(あくまでストーリーはバニングの視点であり、会話シーンとして詳細に描かれたわけではありません)

---

「はははは!うれしいぞユウ。キサマとの戦いの中でEXAMはますますパワーをみなぎらせている!」
「ニムバス!お前はなぜ解ろうとしない!彼女は…マリオンは解放されたがっているのに!」
「フフフ…キサマこそ解っていないようだな。マリオンがEXAMから解放されるとはどんな意味なのか」
「彼女がそれを望んでいる!だからオレはそれを実現させてやりたいだけだ!」
 (ビームライフルの直撃)
「マリオンが…彼女がお前を選んだ…ということか…」
「ニムバス…今からでも遅くはない。協力してほしい、彼女を助けるために…」
「だが私は認めん!ふははははっキサマも一緒に来てもらうぞ!マリオンと共になあ!」

---

「マリオンの解放」という確固たる目的を持ち、決戦に挑むユウ。
そして、最後の最後までニムバスを見限らず、彼に協力を申し出るユウが描かれます。
現在、一般的に認知されたブルーのストーリーは主に小説版(及び、それを下地とした各種ゲーム)からの印象が強いため、
このユウの行動がとても意外なものに感じられます(※余談1)。

漫画版「裁かれし者」が、ちゃんと描かれていれば、最後の決戦はどのように描写されただろうか?
そして、どのような結末を迎えていたのか?
その断片を、ここのシーンから伺うことができるのではないでしょうか。

◆バニングの自問
バニングは劇中にて「人は戦うことで進化する生き物なのか?」ということについて自問しており、炎の中から浮かぶブルー3号機の姿を見て「その進化の果てに辿りつくのは、地獄かもしれない」と、一つの結論を出します。
(※余談2)

◆不死身の第4小隊
サウス・バニングを始め、「機動戦士ガンダム0083」よりアルファ・A・ベイト、ベルナルド・モンシアが登場。
ア・バオア・クーの戦いを経て、後に「不死身の第4小隊」と呼ばれる彼らですが、第4小隊の最後の一人、チャップ・アデルはなぜか未登場です。

---
これにて、高山瑞穂氏による、漫画版ブルーディスティニーはお仕舞いです。
1ヶ月以上かけて紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?
正直、自分の文章力の無さから、漫画版の面白さや漫画版独特の要素など、どこまで伝え切れたかは解りません。
やはり、百聞は一見にしかず。
今なら新装版も定期的に書店に並び、入手し易いと思いますので、ぜひ漫画版を買って、楽しんでみてください!

「裁かれし者」編については、このような変則的な形となってしまったのは、残念なところ。
収録されたのもアンソロジーであり、現在は入手困難となっています。
(古本屋などでは、たまに見かけますが…)
しかし、物語が形となり一応でも決着が着いたこと。これも不幸中の幸いと言えるでしょう。

願わくば、「裁かれし者」編まで描ききった「完全版」が、
いつの日か出版されますように…。


-----
※余談1
皆川ゆか小説版では、どうだったのだろうか?
小説版では、最後の決戦では兵士としてでなく一個人として「ニムバスを殺す!」と思い、戦っていました。
漫画版と小説版。
それぞれで語られたストーリーの基本は同じでもその味付けは大きく違うのであり、それぞれのユウの心情が違うのも、また道理である。
ましてそれが、2号機対3号機という総決算のシーンであるなら、なおさら。
同シーンでありながら、全く違うユウの心情。
それを比較して読んでみるのも、また一興かと。

※余談2
この問いについては、偶然にも「GUNDAM LEGACY」のユウ・カジマのエピソードでも触れられています。
若干、論点が違いますが「人は戦わずにはいられない生き物なのか?戦いの運命は永遠に続くのか?」というもので、
ユウは落下するアクシズに取り付く連邦・ジオンのMSたち、そしてνガンダムから放たれた光の中で、一つの結論を見出しています。

拍手[1回]

2008-12-03-Wed 01:22:31 │EDIT
最終話「茫星(ぼうせい)」


<ユウ・カジマ>
<待ッテイマシタ…アナタヲ!>

キャリフォルニア・ベースに向けて進軍中の連邦軍への、ジオン軍による長距離ミサイル攻撃。それを阻止せんと出撃したユウ・カジマの乗るブルー1号機はEXAMシステムを発動させ、恐るべき力でミサイル基地を壊滅させた。
ユウはその戦闘の最中、翼をもつ少女の幻影を見た。
---
フィリップ、サマナらはキャリフォルニア侵攻部隊に編入される。
連邦軍は大部隊を率い、ついにキャリフォルニア・ベースに攻め込んだ。
多数のMSが激突する戦場で、ドムに襲われたフィリップを救ったのは、遅れて駆けつけてきたブルー1号機であった。
そのまま3機の敵MSを撃破するブルー。しかし、ブルーはフィリップらにも銃口を向ける。
「オレにもわからない…だが、ブルーがお前たちも敵だと認識している」
<裁キヲ!罪深キ者タチニ死ヲ!>
ユウの頭に響く少女の声。
激しい攻撃の衝動を振り払うように、ユウは上空に向けて発砲した。
銃声が響く空。EXAMに引き合わされたかのように、マスドライバーの発射台にイフリート改が表れる。
「全ての者に裁きを。それがEXAMの力だ。マリオンの力、返してもらうぞ!」
イフリート改はブルーに斬りかかった!
それを皮切りに、2機は激しい一騎打ちに入る。
<ニムバス!><ユウ!>
ビームサーベルとヒートサーベルが激しくぶつかり、その瞬間、二人の脳裏に映像が飛び込む。
---
それは、マリオンという名の少女の記憶であった。
クルストと名乗る博士。
彼の期待に応えるため、戦争を早く終わらせるため、彼の研究に協力するマリオンだが、
クルストはしだいに彼女の能力に恐怖する。
「危険だ!いずれ彼らは我々旧人類を裁く日が来る…!そうなる前に、我々旧人類がニュータイプの力を利用させてもらう!」
マリオンは自分への激しい恐怖と憎悪を感じ、EXAMシステムの中に心を閉ざしてしまった…。
---
EXAM機同士の高速戦闘に、双方とも激しく消耗していく。
「ユウ!私に力を貸してください!全てのEXAMをこの世界から消し去るために!」
ユウはサーベルを抜き、イフリート改を斬り付ける!
しかし同時に、ニムバスはグレネード弾を放つ!
弾はブルーの頭部を直撃・大破させ、イフリートもまた、機体を爆発させ、散った。
「やった…のか?マリオン…」
ユウは意識を失う。
---
目覚めると、目の前に翼をもつマリオンの幻影が見えた。
「ありがとう。これで2つの私を消すことができたわ…残りはあと…」
「待ったマリオン!君を助ける方法を探そう!諦めるのはそれからでもいいだろ?」
EXAMを巡る激戦は、まだまだ続くだろう。
しかしともかく、一つの戦いは、終わったのだ。
頭部を失い、半壊したブルーに夕陽が照らされる。空には、宵の明星が輝いていた。

-----
※最新の設定に合わせ、あらすじ中では『キャリフォルニア・ベース』と表記しましたが、
漫画版が出版された当時では『カリフォルニア・ベース』という表記でした。

尺の都合からか、原作ゲーム2巻ステージ2「その名はブルー」、ステージ3「タイムリミット」は
1Pの戦闘描写にまとめられており、最終話のメインは、ステージ5「宿命の戦い」が下地です。

同じく尺の都合からか、これまでの話のペースに比べて最終話は若干駆け足気味な展開の印象があります。
しかし、それでも話はよくまとまっており、また、スピード感ある描写に読み応えがあります。

◆原作ゲームとの違い
・最終和の冒頭で、ミサイル基地の戦闘を終えたブルー1号機は排熱をした後そのまま飛び立っていますが、原作ではオーバーヒートしてその場に各座しています。
・原作ではキャリフォルニア・ベース攻略作戦にフィリップ、サマナに少し遅れて参戦し、共に戦っています。
そして、その段階ではEXAMが発動してないので、仲間を敵とみなしてしまう描写は無く、
ステージ5でイフリート改を相対することで勝手にEXAMが作動します。
(マンガ版では、フィリップを助けに入った段階で既にEXAMが発動している印象を受けます)

◆ミサイル基地での戦闘を終えたブルー。

ブルーがどのように排熱するかがわかる、貴重なカットです。
この後、ブルー1号機は飛び立っています。
(オーバーヒートするまでEXAMを使わなかったからか、単に話の構成の都合かな)


あ、こんな所でも排熱してる!
ここは、現在の設定ではビームサーベル・ラックになっている箇所ですね。

◆その他チェックポイント
キャリフォルニア・ベースに向けて行軍するシーン。
ここでフィリップらは、原作ゲームと同じ機体、ジムコマンドに乗り換えています。

胸にはオリジナルの犬マーキングあり。


ラストシューティングを彷彿させる、ブルー1号機の上空への射撃。


以前のコラムでも書きましたが、漫画版最終話で初めてブルーのビームサーベル収納位置が明かされました。
…が、現在では陸戦型ガンダムと同じ位置にある、という設定になっているようです。


◆書き下ろしカット

全身からブーストを噴かすイフリート改。
実にイカしたシーンですが、この見開きは単行本収録の際に書き下ろされたページです。

上のシーンに繋がる、直前のページ。単行本。

イフリート改がグレネード弾を発射して、このページは終わり。

次に、同シーンの雑誌掲載時のもの。

このページ内で1号機の頭部は破壊され、そのままエンディングシーンに繋がります。
(最終話収録の雑誌のみ所持していたので気づいたシーンです。もしかしたら、他にも書き下ろし&修正シーンはあるかもしれません)


-----
最終話のブルー1号機とイフリート改の戦闘は、実にカッコイイ!
ぜひコミックスを買って、読んでみて下さい!

以上で、漫画版は最終回です。
話がここで終わったのは、掲載していた雑誌「覇王マガジン」の休刊に伴うものです。
単行本としてちゃんと発売されたのは不幸中の幸いだと言えましょう。
高山氏には続きの構想もあったようで、旧コミックス版ではあとがきにて、少し触れられています。
(新装版には残念ながら未収録)

さて、コミックスはこれでおしまい。描かれることのなかった「裁かれし者」ですが…
実は、高山氏によって描かれた「その後」のマンガが存在します!

次回は、コミックアンソロジー「ギレンの野望」に収録された、その後のストーリー。
「バニングス・レポート」を紹介します。
君は、蒼き死神の残照を見る!

拍手[0回]

2008-11-25-Tue 23:54:41 │EDIT
今回は第5話。
原作ゲーム2巻「蒼を受け継ぐ者」より、ステージ1「蒼き運命」が下地となっています。
-----
第5話「覚醒」

ユウらの前に表れた、ジオンのEXAM搭載モビルスーツ”イフリート改”、そしてパイロットのニムバス・シュターゼン。
ニムバスは一瞬にしてフィリップ、サマナのジムを葬り去る。
---
ミデアの格納庫ではアルフがブルー1号機の起動を試みるが、なぜか起動プログラムが実行されない。
(ブルーが起動を拒否しているとでも言うのか…!?」
ユウらのピンチに見かねたエイミーは何か戦力になるものを探しに飛び出す。
---
ユウのジムはイフリート改相手に善戦するも、イフリート改の繰り出す高速戦闘に圧倒され、ミデアに叩きつけられる。
ニムバスがジムに止めを刺そうと近寄る。
しかしそこへ、辛うじて飛んだ戦闘機で、エイミーが特攻をしかける!
ユウの目の前で戦闘機はイフリート改に激しく激突し、散った。
「エイミー!」
叫ぶユウ。
その時、ユウの激しい意識の奔流にブルーが反応し、起動する!
特攻を受けてなお、イフリート改はほぼ無傷であった。
高笑うニムバス。そこへ、ミデアの格納庫からバルカン砲の攻撃が飛ぶ。
ブルーがパイロット無しで動き出し、攻撃を仕掛けたのだ。
ゆっくりと体を起こすブルー。目の前の出来事に驚愕するアルフ。
ミデアの残骸を押し上げ、ブルーがニムバス、ユウの眼前に立ち上がった。
ブルーはイフリート改にマシンガン、ミサイルの掃射を仕掛け、ニムバスは高速移動で辛うじて避ける。
「あれが連邦のEXAM機!最高じゃないか!」
そこへ、ニムバスに本隊から撤退の通信が入る。連邦の大部隊が接近しているというのだ。
拒否するニムバスだが、強制的にオートパイロットにされ、イフリート改は撤退していった。
ブルーは銃を下ろし、足元にユウを見るかのように顔を向けると、そのまま活動を停止した。
一部始終を、アルフは見ていた。
「あれは暴走なんかじゃない!何者かの意思のコントロールを受けている…。説明してもらいますよ、クルスト・モーゼス博士!」
---
ユウ、フィリップ、サマナらは援軍と合流。そして、戦闘機の残骸から、奇跡的に一命を取り留めたエイミーを発見する。
エイミーはヘリで運ばれていった。
そこへ、アルフがユウらの前に現れる。
「全く、悪運の強い女だ…。お前達は今日から私の指揮下に入る。よろしくな、ユウ・カジマ中尉!」


-----


原作ゲームの同シーンでは、ユウ(プレイヤー)のジムによりダメージを受けたこと、連邦の増援が来たことでニムバスは自ら撤退していき、ミデアに積まれたままのブルー1号機を守りきった、というシーンになっています。

漫画版ではユウの感情に反応してブルー1号機が起動、ピンチの彼を助けています。
「あれは暴走なんかじゃない!何者かの意思のコントロールを受けている」
というアルフのセリフからの推測ですが、
彼を救ったのは、ブルー1号機というよりもマリオン自身だったのではないだろうか?
(次の話で明確にされることですが)マリオンは自身の解放をユウに求めていたため、ブルー1号機を、EXAMを介して操り、助けに入ったのではないでしょうか。
いずれにせよ、暴走以外の要因で無人で動くブルー1号機、というのは原作には無かった要素です。
原作のような単純に強いOSではなく、EXAMはマリオンの精神が深く作用するものとして描くことで、物語に深みがついています。
(この辺に関しては後日、詳しく)

---
※この項は単純に妄想の話になります

奇跡的に助かり、軍の救急ヘリで運ばれたエイミーですが、なぜ彼女は助かるという展開になったのか?
もしかしたら、それは今後の展開で植物状態のマリオンを登場させるためだったのかもしれません。
軍の病院に運ばれ、そこに入院しているマリオンと遭遇する…という感じで。
(原作では、EXAMの実験で意識を失ったマリオンは病院で植物状態のまま入院している、という設定があります)
ユウたちの物語の裏側で、このころマリオンはどうしていたか?どういう状況にあったか?それを描くための橋渡しとして
エイミーを病院に向かわせる展開にしたのかも…しれません。
残念ながら漫画自体は掲載雑誌の休刊に伴い打ち切られてしまいましたが、物語が続いていれば、そんな展開もあったかもしれませんね。
---
次回は最終回「茫星(ぼうせい)」です。
君は蒼き死神と戦場を駆ける!

拍手[0回]

2008-11-18-Tue 04:00:25 │EDIT
今回より「蒼を受け継ぐ者」編。
第4話「魔神(ましん)」をお送りします。
あいかわらず、もうちょっと省略したあらすじが書けないかと自分でも思いつつ突っ走ります。

-----
第4話「魔神」

ジオンの、とあるニュータイプ研究所。
ここに配属されたニムバス・シュターゼンは新しい愛機「イフリート改」と
ニュータイプの少女、マリオン・ウェルチを紹介される。
「自尊心。劣等感。野心。挫折感 哀しい人・・・ですね」
マリオンはニムバスを一瞥し、こう言い放った。
---
地球。森に潜むギャロップでは、ニムバスが出撃を待つ。
「私を哀れむ必要は無い、マリオンよ…私はむしろ幸福感すら感じているのだ!」
イフリートが飛び立つ。
それに呼応するかのように、整備ドッグで横たわるブルー1号機はカメラアイをほのかに光らせた…。
---
2度に渡るジオンの猛攻を凌いだ連邦軍基地に、静かな夜が訪れる。
MS格納庫にて、ユウは士官学校時代の同期、エイミーと再会していた。
オデッサ作戦に空軍のエースとして参加。「荒鷲」の異名がつく活躍をしたエイミーだったが、戦闘機の限界を感じていた。
モビルスーツへの転向を勧めるユウだが、それでもエイミーは飛ぶことにこだわる。
「超音速で空気を切り裂いていく。その先にフランクが待っている気がして…」
フランク・マイスター。同じく士官学校の同期であり、彼女の亡きの夫である。
ただの感傷であることは、彼女自身わかっていた。
同じころ、アルフはMS実験部隊を預かる朴大佐とコンタクトをとり、ユウをブルー1号機の専属パイロットとして実験部隊から引き抜く交渉をしていた…
---
翌日。輸送部隊はブルー1号機とデータ収集班を乗せ、出発した。
アルフは不敵に笑う。
(楽しみだよ、君がどうブルーを乗りこなすか…!)
---
実戦データ収集のため作戦地域に向かう実験部隊に、緊急任務が下る。
さきほど飛び立った輸送部隊が敵の攻撃を受け不時着したというのだ。
ユウたちは、救出に向かう。
---
墜落現場で、アルフとエイミーは奇跡的に無事であった。
しかし、数機のザクがミデアを囲んでいた。
エイミーは、輸送部隊を撃墜したのは彼らでなく正体不明の蒼いMSだったと話す。
ザク隊もまた、何者の仕業かはわからなかった。
ミデアに積まれた連邦の新型MS発見に浮かれるザク隊へ、ユウたちは奇襲をかける。
浮き足立ったザク隊は次々と撃破されるも、アルフはブルー1号機の起動準備をする。
エイミーの話から、アルフは何かを警戒していた。
ユウたちの圧倒的な猛攻にザク隊は退却をするも、ジオンと思われる、見慣れぬMSが立ちはだかった。
ザク隊は救援を要請する。しかし…
「キサマら敵前逃亡するのか?この恥さらし共があ!」
ニムバスは一瞬にして、ヒートサーベルで3機のザクを葬り去る。
「何て奴だ、味方を!」
「また、蒼いMSか…!」
味方であるはずのザクを葬った、ジオンの蒼いMS。ユウ達に戦慄が走る…!
-----
原作ゲーム1巻ステージ5「エースパイロット」のその後、第1話エンディング。
そして原作ゲーム2巻ステージ1「蒼き運命」を下地に構成されています。

◆エイミー・バウアー・マイスターについて

漫画版オリジナルキャラのエイミー・バウアー・マイスター大尉。
漫画形式だと小説形式よりも構成、尺に自由が無いのですが、彼女の登場により短い描写でユウ・カジマの過去がうかがえ、キャラクターに幅を持たせてることに成功しています。
(エイミー自身も良いキャラなので、何かの弾みでオフィシャルに還元してくれないかなと密かに願っていますw)

---
◆ニムバスとマリオンの関係
冒頭より。
ニムバスはコンプレックスの塊であり、それをマリオンに見透かされる。おそらくマリオンと協調することは無かったと伺える描写です。
皆川ゆか氏も小説版で、二人の関係をそのように書いていました。
原作ゲームの「ニムバスはプライドが高い」という設定から、
それは自らのコンプレックスの裏返しだった、という解釈を皆川ゆか氏、高山瑞穂氏の両名がしたということになります。
ストーリーの幅を広げる上でこういうキャラクター性を付加しているのは、とても上手いと思う。
(※余談1)
---
◆フランク・マイスターについて
実は、原作シナリオ担当の千葉智弘氏が書いた小説版で、彼の名前が登場しています。
(そこでは姓はなく、「フランク」と表記されていましたが)
1年戦争開戦より少し前。ユウとフランクの乗る宇宙戦闘機が哨戒飛行中、ザクに遭遇。
ザクは戦闘機には不可能な動きでユウらを翻弄し、撃墜する。
その際フランクは死亡するもユウは奇跡的に生還。ユウはMSの恐ろしさを身を思って知るというエピソードがあります。
漫画版と同じく戦闘機パイロットであり、既に死亡している、ということが一致しています。
エイミーとユウのエピソードは、千葉氏小説版のエピソードを膨らませたものなのだろうか。
---
◆朴大佐
漫画ではMS実験部隊を預かる人物としてたった1コマ登場。しかし、この人物も要チェック!
皆川ゆか小説版にも同名の人物がパイロットとして、パク准尉という名前で登場しています。
もしかして親子とかいう裏設定があったのか?なんて勘ぐりたくなりますが、
パク准尉に、連邦軍に親類がいるといった描写はありません。
(パクの連邦軍志願を語る会話のすぐ直後に、パク自身が、軍属であるモーリンの父について触れているので、単に描かれなかったわけでもなさそうです)
したがって、そういった裏設定みたいなのは無さそうです。
小説版の彼の命名について「ガンダム作品で韓国系の名前はなかったので、使ってみた」とコメントしています。
ですから、名前が被ったのは単なる偶然のようです。
(要チェックと言った割には、単に重箱の隅を突いただけでした…)
---
◆ザク隊
ミデアを発見したザク隊は敵前逃亡を図ったためニムバスにやられちゃいます。
原作ゲームでは、ユウらが撃破した後「友軍は全滅か…」と言いつつニムバスが登場します。
細かいところですが、その辺が違いです。
ちなみにザク隊の構成はザクキャノン×2、ザク×4、ザク隊長機。
ザクの意匠は08小隊版のザクがモデルのようで、肩のシールドにスパイクがあります。

-----
こんなところでしょうか。

次回は第5話「覚醒」をお送りします。
君は蒼き死神と、戦場を駆ける!

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※余談1
面白いことに、千葉氏小説版では、ニムバスとマリオンは協力的に描かれていました。
漫画版、小説版、そしてGジェネ等のニムバスがお馴染みとなっている今からは考えられない、優しいセリフがあったりします。
(マリオンに元気が無いのを気遣うニムバスなんて、今じゃ考えられない!)
千葉氏の当初の構想から、ニムバスというキャラクターは徐々に変わっていったのだろうか?
そのへんを考察してみるのも面白そうなので、また後日特集してみたいと思います。

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「機動戦士ガンダム外伝 ブルーディスティニー」や一部ガンダム外伝系のネタを取り扱ってます。設定の考察よりも、設定の成り立ちや変遷を追ってます。まあ、参考程度に。

一年くらい更新を休んでましたが戻ってきました。

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