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機動戦士ガンダム外伝THE BLUE DESTINYについて取り扱うブログです。ブルーディスティニーに関するいろいろなコラムを書いています。

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バニングス・リポート 蒼の残照

2008-12-11-Thu 00:56:30 │EDIT
「バニングス・リポート 蒼の残照」

U.C.0079 12月。
星一号作戦が発動し、連邦軍によるソロモン攻略戦が開始されようとしていた頃、
1機のシャトルが地上のジオン基地から打ち上げられた。
シャトルの目的地は、戦略的価値の無いはずの廃棄コロニー。
地球から撤退するジオン軍がソロモン、あるいはア・バオア・クーへ終結しつつある状況で
その動きを不信に捉えた連邦軍は、サウス・バニング中尉を廃棄コロニーの調査に向かわせる。

バニングは部下のベイト少尉、モンシア少尉らと共に”ジム”でコロニーに潜入する。
そこで彼らが見たのは、破壊された、多数のジオンのモビルスーツだった。
しかも、その残骸にはビームサーベルによる傷跡があった。
友軍機によるものなのか?そう思いながらも危険を感じるバニング。
その時、近くで爆発が起きる。
炎と煙の中に浮かぶ1機のMSの影。攻撃を加えようとするモンシアを制し、機体をよく見ると…
それは、ガンダム・タイプのモビルスーツであった。
こちらを向く、”ガンダム”
そこへ、通信が入る。
「ユウ!ヤツだ!2号機は外にいるぞ!!」
(ユウ…?それがパイロットの名か?これをあいつが1機でやったというのか?)
通信を受けた”ガンダム”は、コロニーの外へ飛び出していく。
それを追う、バニング。

そして、彼らはコロニー片の漂う宇宙空間で戦う、2機の”ガンダム”を目撃する。
1機は白、もう1機は蒼。
カメラが追いつかない程のスピードで繰り広げられる、激戦。
それはまるで戦うこと自体を楽しんでいるかのようだった。
もはや『戦争』でなく『決闘』。
その様子に、バニングは戦慄する。

白いガンダムのビームライフルが蒼い機体を撃ち抜く。
そして、爆発寸前の蒼いガンダムは白いガンダムに掴みかかり、双方が大爆発をした。

帰艦したバニングは報告書を上官に提出する。
「それで、勝ったのはどちらだったのかね。ムサシか?コジローか?
「それが、双方とも爆発してしまいまして…相打ちかと」
それを聞いた上官は報告書をシュレッダーにかける。
「バニング君。このことは他言無用だぞ わかったな?」
艦隊は、ソロモンへ向かう。
戦いは続く…。

-----
「バニングス・リポート」は1998年に「株式会社スタジオDNA」より出版された、
「機動戦士ガンダム ギレンの野望 コミックアンソロジー」に収録されました。




高山瑞穂氏によって描かれたものであり、漫画版ブルーディスティニーの最終回といえます。
ストーリーは、原作ゲーム「裁かれし者」のステージ4,5が下地となっています。
EXAM事件には関係の無い、サウス・バニングという第3者からの視点で見る「裁かれし者」。
そのため、作中では「ブルーディスティニー」という単語は登場せず、あくまで「ガンダム」と呼ばれます。
こういう構成もなかなか面白いですね。

◆高山瑞穂版「ザ・ブルーディスティニー」の結末、その断片。

ユウ、ニムバスらの戦闘中の会話もあります。そのすべてを抜粋してみましょう。
(あくまでストーリーはバニングの視点であり、会話シーンとして詳細に描かれたわけではありません)

---

「はははは!うれしいぞユウ。キサマとの戦いの中でEXAMはますますパワーをみなぎらせている!」
「ニムバス!お前はなぜ解ろうとしない!彼女は…マリオンは解放されたがっているのに!」
「フフフ…キサマこそ解っていないようだな。マリオンがEXAMから解放されるとはどんな意味なのか」
「彼女がそれを望んでいる!だからオレはそれを実現させてやりたいだけだ!」
 (ビームライフルの直撃)
「マリオンが…彼女がお前を選んだ…ということか…」
「ニムバス…今からでも遅くはない。協力してほしい、彼女を助けるために…」
「だが私は認めん!ふははははっキサマも一緒に来てもらうぞ!マリオンと共になあ!」

---

「マリオンの解放」という確固たる目的を持ち、決戦に挑むユウ。
そして、最後の最後までニムバスを見限らず、彼に協力を申し出るユウが描かれます。
現在、一般的に認知されたブルーのストーリーは主に小説版(及び、それを下地とした各種ゲーム)からの印象が強いため、
このユウの行動がとても意外なものに感じられます(※余談1)。

漫画版「裁かれし者」が、ちゃんと描かれていれば、最後の決戦はどのように描写されただろうか?
そして、どのような結末を迎えていたのか?
その断片を、ここのシーンから伺うことができるのではないでしょうか。

◆バニングの自問
バニングは劇中にて「人は戦うことで進化する生き物なのか?」ということについて自問しており、炎の中から浮かぶブルー3号機の姿を見て「その進化の果てに辿りつくのは、地獄かもしれない」と、一つの結論を出します。
(※余談2)

◆不死身の第4小隊
サウス・バニングを始め、「機動戦士ガンダム0083」よりアルファ・A・ベイト、ベルナルド・モンシアが登場。
ア・バオア・クーの戦いを経て、後に「不死身の第4小隊」と呼ばれる彼らですが、第4小隊の最後の一人、チャップ・アデルはなぜか未登場です。

---
これにて、高山瑞穂氏による、漫画版ブルーディスティニーはお仕舞いです。
1ヶ月以上かけて紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?
正直、自分の文章力の無さから、漫画版の面白さや漫画版独特の要素など、どこまで伝え切れたかは解りません。
やはり、百聞は一見にしかず。
今なら新装版も定期的に書店に並び、入手し易いと思いますので、ぜひ漫画版を買って、楽しんでみてください!

「裁かれし者」編については、このような変則的な形となってしまったのは、残念なところ。
収録されたのもアンソロジーであり、現在は入手困難となっています。
(古本屋などでは、たまに見かけますが…)
しかし、物語が形となり一応でも決着が着いたこと。これも不幸中の幸いと言えるでしょう。

願わくば、「裁かれし者」編まで描ききった「完全版」が、
いつの日か出版されますように…。


-----
※余談1
皆川ゆか小説版では、どうだったのだろうか?
小説版では、最後の決戦では兵士としてでなく一個人として「ニムバスを殺す!」と思い、戦っていました。
漫画版と小説版。
それぞれで語られたストーリーの基本は同じでもその味付けは大きく違うのであり、それぞれのユウの心情が違うのも、また道理である。
ましてそれが、2号機対3号機という総決算のシーンであるなら、なおさら。
同シーンでありながら、全く違うユウの心情。
それを比較して読んでみるのも、また一興かと。

※余談2
この問いについては、偶然にも「GUNDAM LEGACY」のユウ・カジマのエピソードでも触れられています。
若干、論点が違いますが「人は戦わずにはいられない生き物なのか?戦いの運命は永遠に続くのか?」というもので、
ユウは落下するアクシズに取り付く連邦・ジオンのMSたち、そしてνガンダムから放たれた光の中で、一つの結論を見出しています。

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疑問
漫画版の紹介お疲れ様でした。
アンソロジーの方もカバーされていて、ついつい私も古本屋でゲットしました。

「バニングス・リポート」を読んで、どうも疑問に残ったのが、アデルは一体どこに行っていたのか?というところです。BDの話よりもそっちが気になって・・・。

あとがきの高山氏のコメントには、なにやら意味深なコメントがあり、とても気になります。

ガンダム外伝のゲーム上、小隊は3機編成ってことでアデルの出番が無かったのでしょうか・・・?
赤い肩2008-12-12-Fri 16:35:25EDIT
Re:疑問
コメントありがとうございます。
アンソロジー、ゲットできて良かったですね^_^

意味深なあとがきで、僕も疑問に思っていました。
ですが、アデルが登場しなかったのは、単純に尺の都合からじゃないでしょうか?
短いページ数の中、主役のバニング以外のキャラに、あまりコマを割くことができないから…かと思います。
あと、ご指摘の通り、小隊での出撃だから3機、とも考えられます。
それに加え、偵察任務なのであまりたくさんのMSで行くわけにはいかなかったからでしょうか。
(そういえば機動戦士ガンダムの第1話でも、コロニーへ潜入したザクは3機でした)
バニングらが潜入し、アデルは不測の事態に備えて母艦で待機していたのかもしれませんね。
管理人2008-12-14-Sun 20:10:20EDIT
たしかに
なるほど、確かにファーストガンダムでおなじみ、デニム小隊を考えるとそういうことかもしれませんねぇ。

あと大人の都合とかもありえそうです(笑)

「機動戦士ガンダム」は本編から派生した、サイドストーリーも熱いので飽きません。
個人的にはアンソロジーの、シローとプロトゼロの話が好きです。本編では軍を抜けてしまうシローが、大尉になって軍に残っている「IF」の話がまたいいです。

それと是非とも、外伝の完全版が読みたくなるところです。
赤い肩2008-12-15-Mon 00:52:15EDIT
Re:たしかに
シローとゼロの話は、白石琴似さんの作ですね。
他のアンソロジーにて、ゼロがレイラ・レイモンドと共にシロッコと戦ったり、
ランバ・ラルとノリスの夢のグフ対決など、ツボをついた漫画を描いてみえます。

過去のアンソロジーに収録した白石琴似作品をまとめた本が出版されているので、よろしければそちらもチェックしてみては。

…あ、全然ブルーが関係ないコメントになってしまいました(笑)
管理人2008-12-19-Fri 02:32:07EDIT
バニングズ・リポート
自分はこれ探すのに3店ほど中古書店探した記憶が。

無事、手に入れましたが………

その際小説版ブルー(初版)もあわせて購入ブルーにハマる前に、図書館で一回読んだだけだったのでラッキーだったです。

どちらも100円……嬉しいような悲しいような……
…………2010-07-26-Mon 12:26:02EDIT
Re:バニングズ・リポート
小説版、及びバニングス・リポート収録のアンソロジーは
10年以上前のものなので、古本屋で100円というのも仕方ないでしょう。
両方とも既に絶版してるので、
入手できたのはむしろ幸運だったと言えるのではないでしょうか。

ところで、小説はマガジン・ノベルス・スペシャル版でしょうか?
でしたら、後年に文庫で再販されたバージョンでは収録されなかった
挿絵がたくさん入っているので、それはそれでお得ですよ。
ただし、初版なら、クルストの説明にあった
ネアンデルタール人とクロマニヨン人の解説が逆になっているのでご注意を。
(文庫版では訂正されています)
シダ│2010-07-31-Sat 22:49
小説版
講談社文庫 の初版本です

2002年10月15日 第1刷発行
とあります。
…………2010-08-03-Tue 20:07:20EDIT
Re:小説版
え、文庫版で100円でしたか。
それはやっぱりショックですね…。
最近だと思っていたつもりが、文庫版の発売はもう8年前になるんですね。

ぜひ、マガジンノベルス版も探してみて下さい。
内容はほぼ同じですが、イラストだけでも見る価値は十分にありますよ。
シダ│2010-08-08-Sun 23:31
無題
>第4小隊の最後の一人、チャップ・アデルはなぜか未登場です。
アデルが出ていない理由は単純で、第四小隊の中で彼だけ元ネタになったゲームに出ていないからです
NONAME2012-02-16-Thu 16:05:12EDIT
Re:無題
>アデルが出ていない理由は単純で、第四小隊の中で彼だけ元ネタになったゲームに出ていないからです
モトネタである「機動戦士ガンダム外伝3 裁かれし者」では、アデルどころか第4小隊の面々は誰も登場しないはずですが…
もしかして、「蒼の残照」自体に別のモトネタがあるのですか?
よろしければ、後学のために詳しい話を聞かせてください。
シダ│2012-02-17-Fri 23:22
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「機動戦士ガンダム外伝 ブルーディスティニー」や一部ガンダム外伝系のネタを取り扱ってます。設定の考察よりも、設定の成り立ちや変遷を追ってます。まあ、参考程度に。

一年くらい更新を休んでましたが戻ってきました。

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