今回より「蒼を受け継ぐ者」編。
第4話「魔神(ましん)」をお送りします。
あいかわらず、もうちょっと省略したあらすじが書けないかと自分でも思いつつ突っ走ります。
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第4話「魔神」
ジオンの、とあるニュータイプ研究所。
ここに配属されたニムバス・シュターゼンは新しい愛機「イフリート改」と
ニュータイプの少女、マリオン・ウェルチを紹介される。
「自尊心。劣等感。野心。挫折感 哀しい人・・・ですね」
マリオンはニムバスを一瞥し、こう言い放った。
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地球。森に潜むギャロップでは、ニムバスが出撃を待つ。
「私を哀れむ必要は無い、マリオンよ…私はむしろ幸福感すら感じているのだ!」
イフリートが飛び立つ。
それに呼応するかのように、整備ドッグで横たわるブルー1号機はカメラアイをほのかに光らせた…。
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2度に渡るジオンの猛攻を凌いだ連邦軍基地に、静かな夜が訪れる。
MS格納庫にて、ユウは士官学校時代の同期、エイミーと再会していた。
オデッサ作戦に空軍のエースとして参加。「荒鷲」の異名がつく活躍をしたエイミーだったが、戦闘機の限界を感じていた。
モビルスーツへの転向を勧めるユウだが、それでもエイミーは飛ぶことにこだわる。
「超音速で空気を切り裂いていく。その先にフランクが待っている気がして…」
フランク・マイスター。同じく士官学校の同期であり、彼女の亡きの夫である。
ただの感傷であることは、彼女自身わかっていた。
同じころ、アルフはMS実験部隊を預かる朴大佐とコンタクトをとり、ユウをブルー1号機の専属パイロットとして実験部隊から引き抜く交渉をしていた…
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翌日。輸送部隊はブルー1号機とデータ収集班を乗せ、出発した。
アルフは不敵に笑う。
(楽しみだよ、君がどうブルーを乗りこなすか…!)
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実戦データ収集のため作戦地域に向かう実験部隊に、緊急任務が下る。
さきほど飛び立った輸送部隊が敵の攻撃を受け不時着したというのだ。
ユウたちは、救出に向かう。
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墜落現場で、アルフとエイミーは奇跡的に無事であった。
しかし、数機のザクがミデアを囲んでいた。
エイミーは、輸送部隊を撃墜したのは彼らでなく正体不明の蒼いMSだったと話す。
ザク隊もまた、何者の仕業かはわからなかった。
ミデアに積まれた連邦の新型MS発見に浮かれるザク隊へ、ユウたちは奇襲をかける。
浮き足立ったザク隊は次々と撃破されるも、アルフはブルー1号機の起動準備をする。
エイミーの話から、アルフは何かを警戒していた。
ユウたちの圧倒的な猛攻にザク隊は退却をするも、ジオンと思われる、見慣れぬMSが立ちはだかった。
ザク隊は救援を要請する。しかし…
「キサマら敵前逃亡するのか?この恥さらし共があ!」
ニムバスは一瞬にして、ヒートサーベルで3機のザクを葬り去る。
「何て奴だ、味方を!」
「また、蒼いMSか…!」
味方であるはずのザクを葬った、ジオンの蒼いMS。ユウ達に戦慄が走る…!
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原作ゲーム1巻ステージ5「エースパイロット」のその後、第1話エンディング。
そして原作ゲーム2巻ステージ1「蒼き運命」を下地に構成されています。
◆エイミー・バウアー・マイスターについて
漫画版オリジナルキャラのエイミー・バウアー・マイスター大尉。
漫画形式だと小説形式よりも構成、尺に自由が無いのですが、彼女の登場により短い描写でユウ・カジマの過去がうかがえ、キャラクターに幅を持たせてることに成功しています。
(エイミー自身も良いキャラなので、何かの弾みでオフィシャルに還元してくれないかなと密かに願っていますw)
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◆ニムバスとマリオンの関係
冒頭より。
ニムバスはコンプレックスの塊であり、それをマリオンに見透かされる。おそらくマリオンと協調することは無かったと伺える描写です。
皆川ゆか氏も小説版で、二人の関係をそのように書いていました。
原作ゲームの「ニムバスはプライドが高い」という設定から、
それは自らのコンプレックスの裏返しだった、という解釈を皆川ゆか氏、高山瑞穂氏の両名がしたということになります。
ストーリーの幅を広げる上でこういうキャラクター性を付加しているのは、とても上手いと思う。
(※余談1)
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◆フランク・マイスターについて
実は、原作シナリオ担当の千葉智弘氏が書いた小説版で、彼の名前が登場しています。
(そこでは姓はなく、「フランク」と表記されていましたが)
1年戦争開戦より少し前。ユウとフランクの乗る宇宙戦闘機が哨戒飛行中、ザクに遭遇。
ザクは戦闘機には不可能な動きでユウらを翻弄し、撃墜する。
その際フランクは死亡するもユウは奇跡的に生還。ユウはMSの恐ろしさを身を思って知るというエピソードがあります。
漫画版と同じく戦闘機パイロットであり、既に死亡している、ということが一致しています。
エイミーとユウのエピソードは、千葉氏小説版のエピソードを膨らませたものなのだろうか。
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◆朴大佐
漫画ではMS実験部隊を預かる人物としてたった1コマ登場。しかし、この人物も要チェック!
皆川ゆか小説版にも同名の人物がパイロットとして、パク准尉という名前で登場しています。
もしかして親子とかいう裏設定があったのか?なんて勘ぐりたくなりますが、
パク准尉に、連邦軍に親類がいるといった描写はありません。
(パクの連邦軍志願を語る会話のすぐ直後に、パク自身が、軍属であるモーリンの父について触れているので、単に描かれなかったわけでもなさそうです)
したがって、そういった裏設定みたいなのは無さそうです。
小説版の彼の命名について「ガンダム作品で韓国系の名前はなかったので、使ってみた」とコメントしています。
ですから、名前が被ったのは単なる偶然のようです。
(要チェックと言った割には、単に重箱の隅を突いただけでした…)
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◆ザク隊
ミデアを発見したザク隊は敵前逃亡を図ったためニムバスにやられちゃいます。
原作ゲームでは、ユウらが撃破した後「友軍は全滅か…」と言いつつニムバスが登場します。
細かいところですが、その辺が違いです。
ちなみにザク隊の構成はザクキャノン×2、ザク×4、ザク隊長機。
ザクの意匠は08小隊版のザクがモデルのようで、肩のシールドにスパイクがあります。
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こんなところでしょうか。
次回は第5話「覚醒」をお送りします。
君は蒼き死神と、戦場を駆ける!
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※余談1
面白いことに、千葉氏小説版では、ニムバスとマリオンは協力的に描かれていました。
漫画版、小説版、そしてGジェネ等のニムバスがお馴染みとなっている今からは考えられない、優しいセリフがあったりします。
(マリオンに元気が無いのを気遣うニムバスなんて、今じゃ考えられない!)
千葉氏の当初の構想から、ニムバスというキャラクターは徐々に変わっていったのだろうか?
そのへんを考察してみるのも面白そうなので、また後日特集してみたいと思います。
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