今回はブルーのビームサーベル収納位置の話です。
そんな細かいところで話題なんてあるのかいな…と思われますが、実はあるんです。
とりあえずブルーの最新の設定をHGUCのインストとしますと、ブルーのビームサーベル収納位置は脚のバーニア上部になります。
ベース機となった陸戦型ガンダム(以下、陸ガン)と同じ場所です。バーニアブロックと陸ガン同パーツ部が折れ、中から引き抜く仕様です。
そしてこれら設定は、97年に発売されたブルーの設定資料集で、既に書かれていたことでした。
つまり、最初からブルーのビームサーベル収納位置は設定されていた、ということになりますが…
実は、そうでもないんです。
そもそもブルーのビームサーベル収納場所の設定は、当初、あやふやでした。
例えば、ガンダムやジムの場合、よく見られる公式イラストでは見た目ですぐわかる位置にビームサーベルがあります。
陸ガンは設定画ではビームサーベルは見えませんが、アニメの劇中でビームサーベルを取り出す描写がありますし、ビームサーベル収納位置の設定画自体が存在しています。
しかしブルーの場合、公式イラストではビームサーベルが見える位置に描かれておらず劇中シーンといってもゲームではパイロット視点のゲームですのでビームサーベルを引き抜く場面は見られません。
陸ガンと同じ位置だと考えようにも、そこにはバーニアが塞ぐようにして付いている。
原作ゲームの説明書でも、どこにビームサーベルがあるかは書かれていませんでした。
つまり、原作ゲーム1巻発売の段階ではサーベルの収納位置は明らかになっていませんでした。
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「もしかして収納場所の設定自体が最初から無かったのではないか?」と思わせる要因があります。
それは、講談社発行の攻略本に載っていた千葉智宏氏による短編小説(※解説1)と、皆川ゆか氏により書かれた小説版です。
両方とも、設定資料集以前に書かれた小説です(※解説2)。
そしてその両方とも、ブルーの戦闘シーンでは「ビームサーベルを構えて~」といった表現で、どこからビームサーベルを取り出す具体的な描写は書かれていませんでした。
ブルーという作品に大きく関わった人物が、そういった描写をしていない。
そしてブルーの小説版を担当した人物も同じく描写無し。小説を書くに辺り具体的な設定等の打ち合わせをしたにも関わらず無かったのは、やはり設定そのものが存在していなかったからではないだろうか。
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サーベルの収納位置がハッキリしない。そうした中、初めて描写されたのはマンガ版でした。
こちらは高山瑞穂氏によるマンガ版最終話、イフリート改との戦闘シーンの一コマ。
そう、ブルーの腰前部にあるパーツがビームサーベル・ラックになっていたのです。
陸戦型ガンダムには無かったパーツ。脚のサーベル収納部が開閉できなくなった代わりに、こちらに移植したのか!と納得させる1コマでした。
これで収納位置がハッキリした…と思ったら、こんな事実が明らかになりました。
こちらは、マンガ版の後に発行された、ブルーの設定資料集のものです。
『ブルーのビームサーベルは脚部にマウントされている』と書かれています。
これまでハッキリしていなかった収納位置が、この本で白黒つけられた、ということになります。
(つまり、マンガ版の描写は高山瑞穂氏の独自の解釈だったということになるのだろうか?)
しかし…
『ブルーのビームサーベルは脚部にマウントされている』とありますが、添えられたイラストは陸ガンのであり、陸ガンと同じ位置にあるパーツの形状そのものが違います。
同じ位置だとしても公式イラストでは脚の陸ガンと同パーツ部位に分割線がなく、説得力に欠けます。
左、HGUC。ちょっとわかりにくいですが、陸ガンと同じ位置で割れるため分割線あり。
中、設定画。分割線なし。
右、陸ガン設定画。分割線あり。
文章で説明されていたとはいえ、設定画に分割線が無いのではいまいちピンとこないのでは?
つまり、97年8月の設定資料集発売の段階では「ブルーのビームサーベル収納位置は、文章での設定はあるが設定画は存在しない」という状況でした。
設定としては、脚にある。しかしイラストとしては腰前部のパーツ内。
ガンダム設定の考察における、実にありふれた表現で言えば「ブルーのビームサーベル収納位置には、二種類の説が存在していた」とも言えるのではないでしょうか。
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次回は、その後から現在に至るまでの設定の変遷を追ってみたいと思います。
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※解説1
原作ゲームのシナリオを担当した千葉智宏氏による書き下ろし短編で、一連のストーリーをアルフ、マリオンなどの視点から描いたものでした。
※解説2
小説版の発行は設定資料集より後だが、小説自体の執筆開始は97年1月から。「書かれた」という意味では、設定資料集より先になります。ちなみにその頃は原作ゲーム3巻もまだ開発中。当時、開発者スタッフより原作3巻のシナリオ原稿を読ませてもらい、参考にしたという。
この情報ソースは、2000年当時公開されていた皆川ゆか氏のホームページにあったインタビューから。現在は削除されて閲覧できませんが、個人的にログを保存していたので確認したところ、そのように書かれていました。現在閲覧できないページを情報ソースとして扱うのは、イマイチ信憑性に欠けてしまうのが申し訳ないところです。
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