『ザ・ブルー』第5話についての感想でございます。
あ、6話載ってるダムエー発売されちゃいましたね。更新全然追いついてないや・・・。
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サブタイトルは『荒野の死闘』。
これは原作ゲーム1巻ステージ3のミッション名でもあります。
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脱出した砲撃手・・・第2話でユウが見逃したジオン兵ですね。彼が撮った写真でニムバスにブルーの存在がバレた。
高山版では連邦のEXAM研究所の盗撮写真による報告でしたが、たいち版ではまだ1号機の存在がバレた段階。
・ニムバス隊の現状
「イフリート改は駆動系にかなり問題がある」
「グフ系のパーツがイフリートに流用できる」
「ニムバス隊はキシリアの命により整備や補給は現地から行える特権を与えられている」
「本来なら複数のEXAM搭載機が配備される予定だった」
などなどが語れます。
駆動系云々はサイドスから。
グフ系のパーツ、特権、配備の話は今回が初ネタ。
イフリートにグフ系のパーツが流用できる、というのは昨今のイフリートのデザインにグフ(主にカスタム)のデザインが反映されていることを受けての、千葉氏により提案された新解釈。
これは良解釈だと思う。
ニムバスがショカコーラをトレーダーに差し出す1カット!
前回のアルフの「良かった」の微笑みといい、グッとくる表情をさりげなく入れてきてますね。
あと千葉氏もツイートされてましたがジオンの配置図と割れたショカコーラを被せる演出がニクい。
・サイドス版ではニムバスのお供である以上に特にキャラ立ちしていなかったラウとトレーダー。たいち版では、野心家トレーダーと、それを冷静に諌めるラウといったキャラ立ちがされています。トレーダーの進言を受けるニムバスの描写、先のショカコーラを差し出す描写など、彼らとの絡みでニムバスというキャラクターも掘り下げられています。
他の媒体とはまた違ったアプローチで魅せるニムバス隊、どう掘り下げられるか楽しみです。
・クルストがEXAMマシンに蒼を選んだ理由を聞かれ、ニムバスは「例のニュータイプ(マリオン)が蒼を好んだから」と答えます。
転じて、ニムバスは「ニュータイプを制した証として、クルストはあの蒼を掲げずにはいられないのだろう」と推測しています。
この2点はサイドスにて、ニムバスのモノローグとして語られています。
マリオンが蒼を好んだ・・・これは皆川版が初出。
マリオンが宇宙の絵を描くと必ず蒼色に塗っていた事について、クルストは「蒼を好んで塗っていた」「ニュータイプには、宇宙が我々と違ったものが見えている」と言っています。
※1
・11部隊のパート。
先にも述べた通り、原作ゲーム1巻ステージ3に相当するエピソード。
訓練中に友軍のディッシュ107が発見しユウらが駆けつけるハメに。フライマンタ隊の爆撃でギャロップが頓挫した下りも原作ゲーム通りです。
新要素は、ザクスナイパーの登場とフィリップらが陸ジムでユウがジム・ドミナンスに搭乗していること、このギャロップがニムバス隊への補給物資を運んでいたことです。
(なおサイドスでは『荒野の死闘』は省かれていました)
・ドミの装備は、後にFAガンダムへ繋がるであろう試作型2連ビーム砲。
脚の外付けスラスターも形状が似てますね。
バックパックはジムスナイパーカスタム、お尻のウェポンラックもスナカス。
ボックスビームサーベルユニットはスナカスも装備してるが、ドミのものは形状が違う。
(どっちかってーとユニコーンのビームトンファーに似てる気ががが・・・)
※2
・ドミナンスのデビュー戦。
ユウに襲い掛かるザクの姿が、暴走ブルーに襲い掛かった時のザクと被る。
その時のブルーの動きがフラッシュバックし、まるでその動きをなぞるようにドミナンスを駆り、ザクを撃破。
ユウのブルーへの妄執が見せたのか、はたまたブルーがユウに取り憑いたのか・・・。
高山版でいう「ブルーの毒が回ったきた」とも言える好演出ですね。
ブルーの睨みのコマからページをめくりドミナンスの睨みに繋がるのも燃えます。
ついには機体の限界を超えた操縦を見せ、ドミナンスの関節に多大な負荷がかかる。ユウのパイロットとしての技量が伺え、また、これ以上に暴れたのに動き続けたブルーの怖ろしさとの対比ともいえる描写。
ここでユウを支えるのがフィリップ機というのもニクいねコレ。
・再びニムバスらのパート。
隊への補給物資を運んでいた部隊の壊滅の一報を受ける(11部隊の仕業であることは知らない)。
現在のイフリート改の状況として「度重なる実験でダメージが蓄積しているが、ニムバスの操縦技術であれば機体にほとんど負荷をかけることなく戦うことが可能」とのセリフあり。
何度か言ってますが、地上に降りた段階でイフリート改の調子は万全でないという設定はサイドス版からものもです。
・「強き者は運命で結ばれているからな」というセリフ。今回のニムバスは意外とロマンチストのようです(次回にもそれを感じさせるセリフがあります)
第5話後半でブルーが11部隊に配属されるのではと思うユウなど、たいち版では運命を予感させる描写が多いのも印象的です。
・再び11部隊パート。
ここでのフィリップ、サマナらのセリフは原作とほぼ同じものがあるが、細部が違います。
原作ゲームでは「ジムのありがたみがなくなっちまわぁ」
たいち版では「ドミナンスのありがたみがなくなっちまわぁ」となっている。
原作ゲームだと実験部隊の3人が使用するジムは最新鋭機であり、ザクより性能が上という扱いである。
今回たいち版では、フィリップ、サマナは陸ジムを使用。
陸ジムも高性能機ではあるが、ここでのセリフは「部隊の高性能・最新鋭機はユウのドミナンスである」という意味合いで使われている。
高性能機であるドミナンスであるが、それに満足できないユウ・・・という描写に繋がるのはわかるが、ユウに新装備が集中しておりフィリップらが陸ジムのままなのは気になりました。
・高性能機であるドミでも満足できず、より強大な力として”ブルー”を求めるユウの描写。
のちにブルーに乗ることになるのは、我々読者も分かっていること。
では、たいち版のユウはブルーに乗ることでどのような反応をするのか?
ここでの描写もそうですが、たいち版にはそれを予感・予想させる伏線が丁寧に張ってある印象をもちました。
・フィリップ「例の蒼いやつの話~ニュータイプ用の実験機」という話は原作ゲームの同ステージ、開幕デモムービーのものとほぼ同じ。
ユウが「ニュータイプ」と聞き、マリオンを連想する下りは今回初。
原作ゲームの該当箇所のセリフをピックアップしてみますと・・・
フィリップ「そういえば、ユウ少尉。あの蒼い奴の話聞いたか? どうもあれは、連邦軍がジオンから亡命してきた博士に作らせた、 ニュータイプ用の実験機だったらしいぜ」
サマナ「なんです?ニュータイプって」
フィリップ「知んねーよ!それにしても仲間を襲うとは、やっぱ作った奴がジオンだからかねえ」
となっています。
原作ゲームでは「ニュータイプ」の知名度が一年戦争時のこの段階において、一般兵士には馴染みのない言葉であると伺えますが、今回は「ニュータイプ」という言葉にサマナが疑問を持っていないあたり、何かしら意味をもった言葉として広まっていることが伺えます。
※3
・ブルーがニュータイプ用の実験機である情報を、誰かがユウたちに故意に流させている・・・
原作ゲームでは先にピックアップした会話の通りで、会話の中でストーリーや設定を説明しているため、やや唐突な感じがあった。
(なお、ゲーム中の会話で劇中ストーリーや設定を盛り込むのには苦労したと各種インタビューにて千葉氏は述懐している)
今回では噂の流れ方が恣意的だという理由付けで、比較的自然な形で組み込んだなと思う。
それにしても、このタイミングで笑顔のモーリンちゃん登場・・・なにか意味深なものを感じますね(?)。
・締めは11部隊に目を付けたアルフが先の戦闘結果を分析する描写。
11部隊に内通者がいることが伺える描写もあります。
ここでアルフは11部隊のパイロットらを、次のように評しています。
サマナ・・・機体に全く負荷をかけない堅実な戦い方。メカニックとしては理想的。
フィリップ・・・傷だらけの機体なのに深刻なダメージはほとんどなく、不思議である。
ユウ・・・関節部の負荷から、機体の限界を試すかのように最大出力で戦っている。メカニックとしては最悪のパイロット。
そして、そんなユウにブルーを与えれば最良のデータが取れるのでは・・・と、ユウをブルーのパイロット候補に選びます。
11部隊の面々の戦闘スタイルについてここまで分析・描写したのは初めてかと。
また、アルフがユウをブルーのパイロットに選ぶ描写としても、たいち版が一番詳細ではないかと思います。
・たいち版では、戦闘による直接的なダメージではなく操縦による機体に掛かる負荷への言及や描写が多いなと思いました。
これは皆川版でもこと細かに描写されていましたが、たいち版では漫画である強みを活かし視覚的にもアピールしてきています。
エースパイロットの操縦に、並の機体ではついていけない。
しかし、ブルーならば・・・。
こういった描写は、EXAM搭載機が通常の機体とは違うモンスターマシンだと強調できて良いなと思います。
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と、いうわけで第5話感想でした。第6話についても、近いうちにUPしたいです。
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※1
EXAMマシンが蒼い理由。
原作ゲームでは「博士の趣味」とだけ説明されています。
この機体色に意味をもたせ、また、ストーリーに絡ませた皆川版の手法は上手いなーと思う。
ところで、機体色が蒼い理由について、ネットではたまにこんな珍説をみかけます。
「ニュータイプは宇宙が蒼色に見えるから、それに対する迷彩効果を狙って蒼く塗られている」。
皆川版の「マリオンには宇宙が青く見えている」という話から飛躍した珍説かと思いますが、視覚のみに頼っているわけではないニュータイプに迷彩効果が発揮できるのかは甚だ疑問です。
そして、少なくとも自分としては、ブルー誕生からこれまでの20年間、公式サイドからこういった設定は一切聞いた事ありません。
・・・ここまで言っておいてアレですが、もしこの説が記述されている資料(公式、もしくは公式に近いレベルのもの)があれば、一報願います。
※2
・・・極秘であるFSWS計画の装備がなぜ11部隊に?
まあ、極秘とはいえ装備のテストはせにゃならんから、実験部隊である11部隊にそれが回ってくるのは当然・・・なのかな?
FSWS計画の信憑性、また実際にあったとして、この時期の計画の進行度は・・・?
などなど考え出しても詮無きことだし自分もあまり詳しくはないので、あまり突っ込まずにおきます。
※3
では、どういう意味で・・・?
一年戦争時の一般的な連邦兵の”ニュータイプ”に対する認識。このあたりを推測・妄想するのも面白そうですね。考察するための材料になりそうな描写が次の話にありますが、まあ話が脱線しますので自分の妄想を簡潔に言いますと、「エスパーのような力をもったエースパイロット」という、一種の都市伝説的のような扱いで名称が使われていたのではないかと思っています。
「ジオン・ズム・ダイクンが提唱した新しい人類を指す」ということは知っていたとしても、この頃は存在が(一般的には)確認されておらず、概念であった。
「宇宙移民どもが、彼らが崇拝するダイクンの思想に乗っかってエースパイロットを神格化し『ニュータイプ』と呼んでいる」。といった認識であったのかもしれません。
レビル将軍はニュータイプの存在を信じ、マチルダもまたニュータイプを(一種のロマンとしてかもだが)信じていたフシがある。そしてホワイトベース隊のウソみたいな活躍は一般兵士にも噂として知られていたので、”ニュータイプ”という存在は「エスパーのような力をもった、オカルトめいた都市伝説・・・でも、もしかしたら本当に存在するのかも?」といった具合で知られていたのかもしれませんね。
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