『ザ・ブルー・ディスティニー』第2話について、いろいろ。
とりあえず気づいたことをバァーっと書きまして、感想はのちほど。
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サブタイトルは『STAGE2 月下の出撃』。
モトネタは原作ゲーム1巻のステージ1ですね。話のあらましも、原作とほぼ相当してます。漫画のラストの暴走ブルーとの遭遇は原作ではステージ1と2の間のデモでしたね。
輸送中の現在地が『カナダ・大西洋沿岸上空』とあります。
サイドストーリーズでは北米大陸のシカゴあたりだったかな?
皆川、千葉版ではヨーロッパでした。場所的にはサイドスが近いですが今回の漫画が今までで一番、場所が詳細になっています
モーリンの「各員、機体の最終チェックをお願いします」、降下時のフィリップの「ヒャッホー!」は高山版オマージュですね。
フィリップの「ほんじゃまあー、ボチボチ行くとすっか!」は原作ゲームより。
・調子に乗り、ピンチに陥ったフィリップを助けるユウ。
高山版では単独攻撃でピンチに陥ったサマナをユウが助けていました。
『A.M.M.C.』の正式な表記が映っています。『THE 11th AUTONOMOUS MECHANIZED MOBILE C・・・』まで読み取れる。Cはもしかして『CORPS』かな?
・部隊の編成
ユウの小隊は陸ジム、空挺用ジェットパック装備。
その他2小隊6機は通常のジムでパラシュートパック装備。
サイドス版はユウの小隊が通常のジムで他の小隊が陸ジムを使っている描写あり。
原作ゲームではジムコマンド。漫画版ではRGM-79ジムですが、デザインに若干のアレンジがされています。
皆川版では陸戦型ジム(挿絵では何故かジムコマンド)、千葉版では単に「ジム」と表記されていました。
原作ゲームでは他の小隊の描写が希薄でしたが、ここはハッキリ描かれていますね。
(なお、他の小隊の描写はどの作品でもハッキリしています)
※1
◆生きた人間としてのジオン兵
固定砲台に照準を向けると、そこには逃げ出した敵兵が。ユウはそれを見送り、無人化した砲台を破壊。
ユウは「MSの圧倒的な力に対抗できるのは、同じMSの力だけ。俺たちの任務はこの力を強固にすることであり、いたずらに敵兵を殺すことが任務ではない」と言います。
このように、モビルスーツ相手ではなく、生きた人間としてジオン兵を目撃するシーンは高山版、皆川版にもありました。それぞれ違いがあるので、ピックアップしてみましょう。
高山版・・・ビルの影からロケットランチャーを撃ってきた少年兵を「俺たちの任務はジオン兵の殺戮ではない」と見逃す。が、まだ倒しきっていなかったザクが突然攻撃を仕掛け、避けようとしたサマナ機がビルに倒れこむ。そして少年兵を潰してしまうのを目撃する。
この時の少年兵、ザクのパイロット、ユウ、フィリップ、サマナらの強い思念が、基地近くで戦いをモニターしていたブルー1号機のパイロットに映像としてフラッシュバックする。
静止していたはずのブルー1号機が起動、EXAMシステムが発動する。
皆川版・・・戦っていたザクのコックピットハッチが開き、負傷したパイロットを目撃。
ユウは生身の人間がそこにいることを見ながら発砲することに一瞬躊躇し、パイロットから目を逸らし機体の頭部に発砲。
頭部に命中するも機体は爆発、パイロットが爆風により吹き飛ばされ地面に激突し跳ねる姿を目撃する。
この出来事は、敵兵を一人の人間として見ないことで自らの心を守って(欺いて)きたユウにとって、強い揺さぶりとなる。
同じ「生きた人間として敵兵を目撃する」というシチュエーションですが、三者このように違いが出るのが面白いですね。
高山版、皆川版もこの出来事が物語のキーの一つになっています。
たいち版ではユウの「力」に対する思いを端的にあらわしており、さらに強い力を欲するユウ、暴走ブルーと遭遇した時の力への憧れなどと併せて、今後の展開のキーになっていきそうです。
◆ブルー登場
このシーンのセリフは原作ゲーム通り。これにより、たいち版でも今回の出撃が初陣だったことが伺えます。
原作ゲームにユウのセリフは無く、ここでのユウの返答「ああ、そうだな」はサイドス版で初出のものになります。
続きまして、所属不明機を発見したモーリンのセリフ以降は原作ゲームのやりとりを踏襲しつつアレンジされています。
暴走状態のブルー1号機登場。ジム、ザクを敵味方区別なく襲っていきます。そう、ここでザクも巻き込まれているのは今回が初なんです。
これまでの作品では・・・
原作ゲーム、皆川版、千葉版・・・作戦が終了し撤収、合流ポイントに向かう途中に襲われる。
高山版、サイドス版・・・作戦が終了し、まだ基地から撤収していない状態で襲われる。
今回は、ユウたちの担当エリアの戦闘は終了したものの友軍はまだ戦闘中だったため、ジムもザクもお構いなしで襲われる格好となりました。
敵味方見境なしという状況はブルーの異常性が強調されて良いアレンジだと思いました。
ジムの頭部を掴み、ザクに投げつけ、頭部がもげるというアクション。
ジムをブン投げるブルーといえば、ゲーム『機動戦士ガンダム エクストリームバーサス』にて初めて行われたアクションでした。
そして、もげたジムの頭部を持つブルー1号機で第2話締め。
※2
高山版ではどうだったでしょうか?
(画像は高山版)
サマナ機に急接近し、頭部を掴みもぎ取り、その勢いで機体がふっ飛ぶ。
ジムの頭部は掴んだまま、次の攻撃に移ります。
まとめてみると、たいち版では高山版のアクションにEXVSの要素を織り交ぜ、凶暴性をより強調したアクションに発展させた・・・といった感じでしょうか。
・圧倒的な力を目撃し、恐怖よりもその力に羨望の眼差しを送るユウ。サイドスではモノローグで語られた部分ですが、たいち版では今後の物語の重要な要素として、より強調して描かれています。
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◆第1、2話の感想
ま、こうやってグダグダと分析してばかりしていますが、素直に直球で感想を述べますと
暴走するブルー1号機の暴れっぷりが、とにかく格好いい!の一言に尽きます。
第2話締め、ジムの生首を掴み読者を見下ろすような煽り視点のブルー1号機もGOOD!
やっぱブルーはこうだねって思いました。
(前回感想を書き忘れましたが)第1話ではフランクの件をルウム戦役での出来事とし、ユウの戦う動機を端的に描いていたのは上手い導入だと思いました。
たいち版のシナリオはサイドス版準拠ですが、新たな要素を加えつつ、漫画ならではの魅せ方をしてきています。
過去作からの集大成として、また、今後のスタンダードになる新しいブルーの物語としても期待できそうな第1、2話でした。
その他、思ったことをスラスラっと箇条書きしていきます。
・第11独立機械化混成部隊の英語表記は、「やっと来てくれた!」という思いですね。Gジェネでは「MOLMOT TROOPS」みたいな表記されていて「そりゃないぜ!」と思ったので。
・そういえばサイドスで出た「11部隊」って略称はまだマンガでは使われてないな
・「何でも試すのがモルモッ・・・とぉるあぁあ!」は、若本規夫ボイスで脳内再生余裕でしたw
・暴走ブルーの描写、気合入ってますねぇ。次号のユウとの対決も楽しみです。
まだ先の話になりますが、ミサイル阻止作戦(ユウが初めてEXAMを起動させるミッション)での暴れっぷりも期待できそうです。このミッションで破壊の限りを尽くすブルー1号機を、どうしても見たくてねぇ・・・。
(MS BOYSの時はジオンサイドの主人公視点で、全体の戦闘の一部だったので「もっと見たい!」感があった)
・ジムの生首を持つブルー1号機で締めとはニクいねえ。やっぱブルー1号機といえばコレですよ。
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※1
鼎談によると、原作ゲームではジムコマンドだったがそれでは時期が早すぎるので今回は時期の合うMSにしたとのです。
以下、素人考えになりますが・・・
それだったら部隊の全機が陸ジムでの良かったのでは。何故ユウたち以外の二小隊は通常のジム?
「ブルーのやられ役は通常のジムしかない!」という思いからでしょうかね?
逆に、ユウたちはなぜ陸ジムを使用していたのだろうか?
連邦軍の正式MSであるRGM-79が劇中のこのタイミングで登場しているならば、先行量産型で今後生産の予定の無い陸戦型ジムでデータを取らなくても良いのでは・・・?
まあ、「運用ノウハウと新装備のテストが主だから機体は何でも良い」とか「ジムの生産体制がまだ整っておらず、11部隊に回せる数が足りなかったので従来機である陸ジムとの混成になってしまった」とか理由はいろいろ考えられそうなんだけどね。
※2
この構図は高山版が初出で、以後さまざまな機会にイラストのモチーフになり今日のブルー1号機の象徴となっています。
(画像は高山版)
生首を持つブルー1号機イラスト特集、なんてのも面白そうですねぇ。
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