今月のガンダムエース(2015年11月号No.159)より始まりました、新生・ブルーディスティニーの物語!
例によって、いろいろと思ったこと気づいたことを書いていきたいと思います。
・・・と、その前に。
ウチは、『機動戦士ガンダム外伝THE BLUEDESTINY』という作品が辿った歴史や変遷について調べているブログです。
今回のブルーの漫画を簡単にあらすじだけ知りたいとか、まとめでお手軽に見たいって方が見えましたら・・・その要望には答えられません。
まだ売ってるから今月のガンダムエース買って読んで下さいね。
また、本文には「○○は△△が初出」「××は今回が初出」といった文言が多々出てきます。
後に書く『○○版』の数を見ても分かるとおり、ブルーディスティニーという物語は、原作ゲームから始まりさまざまなメディアミックスを経て物語の肉付けや設定の追加・変更が行われてきました。
そういった道程を探るのがウチのブログですので、初出についてやたらと出てくるわけです
そんな事を調べて何になるの?と思われる方がみえましたら・・・ごめんなさい、ここはそういう所です。
一応設定の考証なんかもやってますが、その点ではあまり期待しないで下さいね。
また、「ここ事実と違うよ」みたいな事がありましたら、コメント欄にてお寄せ下さいませ。
※今回は『○○版』といった表現が多数出てきますので、最初に解説しておきます
高山版・・・1997年出版。高山瑞穂氏による漫画版ブルーディスティニー
皆川版・・・1997年出版。皆川ゆか(現:皆川有伽)氏による小説版ブルーディスティニー
千葉版・・・1996~1997年出版。千葉智弘氏による小説版ブルーディスティニー。講談社版のゲーム攻略本に収録されている。
たいち版・・・今月号より始まった漫画版ブルーディスティニー
サイドス版・・・2014年に発売されたPS3ゲームソフト『機動戦士ガンダム外伝 サイドストーリーズ』に収録されたブルーディスティニー
原作ゲーム・・・1996年~97年に発売されたセガサターンソフト『機動戦士ガンダム外伝 THE BLUEDESTINY』シリーズ
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それでは、いってみましょか
◆タイトル&ロゴなど
今回の漫画版の正式タイトルは『ザ・ブルー・ディスティニー』
『ブルーディスティニー』でなく『ブルー・ディスティニー』となっているところが目を引いた。
既に”ブルーディスティニー”という単語はガンダム界隈では一つの名詞として成り立っているので、あえて中黒をつけると違和感が。これは高山版とタイトルを差別化するためですかね?
ロゴについて。
まず、たいち版と原作ゲームのロゴを確認してみましょう。
原作ゲームでは『MOBILE SUIT GUNDAM SIDE STORY・THE BLUE DESTINY』となっていますが、
たいち版では英字表記が『MOBILE SUIT GUNDAM THE BLUE DESTINY』となっており『SIDE STORY』の表記が消えています
・・・これはどういった意図が?
ロゴに加え、こちらの表記。
『U.C.0079 1.03 THE DUCHY OF ZION DECLARED WAR AGAINST U.N.T FOR ITS INDEPENDENCE.SO CALLED THE ONE YEAR WAR BEGAN』
こちらは原作ロゴにあった表記がそのままになっています。
原作ゲームが発売された1996年当時。連邦軍・ジオンの英語表記はそれぞれ『U.N.T(United Nation Troops)』、『Duchy of ZION』もしくは『ZION Dukedom』でした。
現在は連邦軍が「E.F.F(Earth Federation Force)」ジオン軍が「Principality of Zeon」となっているので、ここの表記は現在の設定にあわせるものかと思っていましたが、当時のままになっています。
話数カウントの表記が『STAGE』となっています。
これは原作ゲームを意識してるかな・・・?
◆コロニー落とし&ルウム戦役
ブリティッシュ作戦でコロニー落としを目の当たりにし、そしてルウム戦役に参加したユウ・カジマから物語は始まります。
この辺りはこれまで断片的に語られてきており、サイドス版ではブルー編OPとして描かれました。
そして、今回も物語の始まりとして、サイドス以上にガッツリと描かれています。(内容的にはサイドス版が基礎になっている)
今回まず注目すべきは、ルウム戦役にてユウと共に出撃した小隊メンバーに『フランク』がいることです。
彼はもともと千葉版に登場したキャラクター(※1)。
一年戦争開戦の一週間前、ユウとフランクは哨戒飛行中にザクと遭遇。
MSのもつ機動性に翻弄され、フランクが戦死するというエピソードがあります。
千葉版では開戦以前でしたが、今回のたいち版ではルウム戦役のエピソードとなっています。
ここでこの千葉版エピソードを持って来て、ユウが戦う動機付けとして強く描かれてるのは上手い導入だなあと思いました。
なお、他メディアと比較してみると・・・
皆川版・・・開戦以前の哨戒中にザクと遭遇、翻弄されるもお互い発砲することはなかった。ここでユウはモビルスーツの恐ろしさと重要性に気づく。
このとき共に出撃していたパイロットの描写はあるが、名無しでありフランクではない。
コロニー落とし防衛戦には不参加、ルウムでの戦いは召集され参加している。先の哨戒任務でMSの恐ろしさを知っていたので生き延びることができたと述懐。
高山版・・・ルウム戦役や開戦前の遭遇戦のエピソードは無い。
本編では、ユウらの回想にて仕官学校時代の同期としてフランクが登場している。フルネームは「フランク・マイスター」。同じく同期のエイミーと結婚している。
本編中では既に故人であることが伺えるが、詳細は不明。
サイドス版・・・ブルーのシナリオの冒頭ムービーにて、ユウがルウム戦役に参加。MSに翻弄され、その重要性に気づく。同僚を亡くすエピソードとフランクというキャラクターは登場せず。
・ユウの所属
ここで出る「アンダーソン艦長」は、PS2ガンダム戦記のノエル・アンダーソンの父ですね。
一週間戦争当時のユウの所属が明らかにされたのはサイドス版からです。
ブルー小隊という名前は、今回が初出。後のブルーディスティニーとの因縁を予感させる、良いネーミングと思いました。
また、フランクにサムズアップするユウが描かれています。
これのモトネタはセガサターン版ギレンの野望のルウム戦役ムービーのワンシーンかと思われます。
※ギレンの野望より
◆戦い終わって・・・
・フランクの戦死。自分の無力を呪い、モビルスーツという強大な力を欲するユウ。
サイドス版で描かれた心理描写です
ユウが戦う理由は、各メディア毎に違っています(長くなるのでこの辺は省略)。
今回はサイドス版を基準にしつつ、ユウの怒りや憎しみ・無力感といった感情をより深く描いています。
なお、千葉版では『復讐なんて、がらじゃない。しかし、あの巨人を倒せる力が得られるのなら…モビルスーツのパイロットも悪くない』となっています。
サイドス版&たいち版とテンションは違いますが、これが下地になっている印象です。
・ここでスカウトに来た名無しの大尉は千葉版にも登場。同じく名無しの大尉ですが、やりとりは千葉版の方はアッサリしています。
たいち版での大尉との握手。この描写に1P割いて描いているのが印象に残りました。これは後々の展開でちょっとした仕掛けになりそうな予感。
それにしてもここでの大尉のスカウト。
ここで「実験部隊を作る」ってのはちょっと話が早い気がする。
千葉版では、
「連邦のMS開発部でテストパイロットをやってくれ」
→「MS作ったはいいが、運用ノウハウがないからてんで駄目だったわ。運用データを集める部隊を創設するから、そこへ行ってくれ」
という流れでした。
原作では”運用データやノウハウの収集”が部隊の主な任務でしたが、たいち版では”新装備の実験データの収集”という面が強く描かれています。
話の導入をスムーズにするため、また、部隊の任務が原作設定と若干違うため、いきなり「実験部隊」という話になったのかなと思いますが、それでもやはり急だなという感想です。
千葉版の大尉は「MSと交戦して初めて生還した者」としてユウをスカウトにきました。
たいち版大尉は「MSというバケモノを扱う道筋をつける者は、あの戦いを知っている者であるべきだ」と考えており、千葉版での理由をより深くしたものになっているなと思いました。
・部隊の創設
フィリップのセリフ「さてとジオンの一つ目小僧を退治しますかね」は高山版の「出てきやがれジオンの一つ目小僧!」のオマージュですかね。
(このほかにも、高山版オマージュと思われるシーンがありますが、それはのちほど)
第11独立機械化混成部隊という名称は皆川版初出。
通称「モルモット隊」は高山版初出。
※1
・フランクという名前、遭遇戦のエピソードについて。
僕は、千葉氏のアイデアが高山版及び皆川版に反映されたと考えていますが、実はこれに確証はありません。
原作シナリオを担当した千葉氏が書いた千葉版にその名前とエピソードがあったので、千葉氏が最初ではないかと考えています。
が、もしかしたら高山氏、皆川氏のアイデアが千葉版にフィードバックされた・・・という流れかもしれません。
(千葉版、高山版、皆川版が出版された時期が近く、執筆された期間を考慮するとこの辺の推測ができません)
もし、この流れについて詳しいことを知って見える方がみえましたら、教えていただけたら幸いです。
(まあ、この辺は本人らに聞くのが一番手っ取り早いけど恐れ多くて聞けないっす・・・)
※2
・本当に余談の余談なので読み飛ばしてもかまわないのですが・・・
ユウはコロニーが落ちたことの動揺はありましたが、オーストラリアに落ちたことへの動揺はありませんでしたね。
マスター・P・レイヤーと同郷・・・つまりユウがオーストラリア出身というネタは、今回は無いようですね。
(まあ、このネタはギレンの野望でのメタ的なネタからの話なので当然か)
※3第1話のコピー「コロニーが落ちる時、俺たちは無力だ」とありますがここは「コロニーが落ちるとき、俺は無力だった」のほうが、力を欲するユウと後に力を得るユウを予感させて良いんじゃないかなーと思いました。素人考えですが。
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と、いうわけで第1話でした。
久々の更新なので、以前より文章力が落ちてたらゴメンナサイ。
新しいNAOKI版ブルーもいろいろ書いていきたいんですが、背面画が出るまで待ちます。
あと、まとめサイトみたいな所で何かと話題になってるようなので、治まるまで控えます。絡まれると面倒なので。[2回]
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