ゲーム雑誌『電撃王』の2002年8月号に掲載された稲垣浩文氏と牛村憲彦氏へのインタビューを紹介。
と言っても、今回はおもに
ブルーディスティニーに関連する部分の抜粋になりますので、大部分はカットしてあります。
(インタビューの全文は
コチラ)になります。
-----
-まず、おふたりが過去に担当してきたガンダムのゲームについてお聞きしたいのですが。
(省略)稲垣:僕は最初が’95年のPS版『機動戦士ガンダム』ですね。その後はサターンの『機動戦士ガンダム外伝』3部作(’96~)や、PS2の『ガンダム』(’00)など、担当しているのはストーリー性のあるACT系ですね。-おふたりとも入社当初からガンダムゲームを担当していらしたんですか?
稲垣:いえ、僕は『ガンダム』の前に『スラムダンク』や『セーラームーン』などを担当してきました。当時('90年代前半)、ガンダムゲームは今ほどは売れなかったんですよ。それが、PS版の『ガンダム』で変わりましたね。PSやサターンのユーザーは比較的年齢層が高く、ちょうど”ファーストガンダム”を見てきた世代だったんですよ。PS本体が100万台そこそこの販売台数の時に、『ガンダム』は初回出荷分で30万本近く売れたんですよ。これからはゲームでも『ガンダム』が有力なコンテンツになると、その時確信しましたね。-32ビット機になってゲームの内容も劇的に進化したと思います。
(省略)稲垣:ポリゴンが使えるようになったのはインパクトがありましたね。社内でデバッグをしていたら他の部署から次々と人が集まってきて、「オレたちはこういう『ガンダム』を待っていたんだよ!」と、まったく話をしたこともない人から握手を求められたりして(笑)。ポリゴンを使ったことが、ガンダムゲームにおける最大の転換点だったと思います。(中略)-おふたりがプロデュースしているガンダムのゲームは、牛村さんがSLG系、稲垣さんがACT系に二分されますが、それぞれそのジャンルへのこだわりがあるからでしょうか?
(省略)稲垣:一時は毎月のように、いろんなジャンルのガンダムゲームをリリースしていたこともありました。残念ながら売り上げはかんばしくない作品もあったのですが、『ギレン』や『Gジェネ』などのSLG系と、『外伝』や『Zガンダム』といったACT系は突出して売れたんですよ。それで結果的に、最近のガンダムゲームはACT系とSLG系が中心になったと思うんです。(中略)-『ギレン』や『Gジェネ』では、いろいろな作品からMSやキャラクターが出演しますが、そこに登場するユニットはどのように決めていくのでしょうか?選択は大変では?
(省略)稲垣:ガンダムのストーリーは、何月何日にこんなことが起きた、という歴史がしっかりしているんです。アニメ制作のサンライズさんは、その年表のすき間を補完するように『第08MS小隊』などのOVAや映画を作っているんですよ。サターンやDCの『外伝』などでも、シナリオ・プロットの段階からサンライズさんにご協力いただいて、ガンダムの正史と矛盾しないように作っています。-例えば『外伝』のように、それまでなかったガンダムのエピソードというのは、サンライズさんとのやりとりで作っているんですか?
稲垣:そうですね。企画段階で原案をこちらから出すんですけど、史実とかぶってしまうシナリオはダメなんですね。なので、いろんな資料を熟読したうえで、「この時には事件がないから、こういう出来事があってもいいんじゃないか?」と考えて、プロットやシナリオをサンライズさんのガンダム担当にお話をして、いっしょに内容を詰めていきます。シナリオに関しては共同作業で作って、さらに監修もしていただいて、最終的には正史に盛り込んでいただけえうように毎回がんばっています。-イフリートのようなオリジナルMSのデザインも、バンダイで原案を出して、サンライズが監修するという形ですか?
稲垣:MSに関しては、すべてサンライズさんに発注しています。ただ、ガンダムタイプのMSを出したい、という要望だけは難しいですね。「ガンダムはアムロの乗るあの1機だけ」ですから。「じゃあ陸戦ガンダムって?」というと、あれはジムのバリエーションなんです。そのため、サターン版の『外伝』では、「陸戦ガンダムを元にして、新しいガンダムを作りたいんです」とサンライズさんにお願いしました。大河原さんにMSのデザインをお願いしたんですが、「ああいいですよ、ミサイルも出しましょうか」と快諾していただいて。実はそれが、ブルーディスティニーの胸にミサイルランチャーが装備された理由です(笑)-オリジナルMSのアイデアを、ゲーム制作側から注文することはあるんですか?
稲垣:それは当然ありますよ。でも、「熱核ジェットホバーをつけたいんですけど」と言ったら、「それはドムだけなのでダメです」ということもありました。設定上の制限があるので、絶対に矛盾のない形にしつつ、ゲーム側の要望に近づけていくのが大切なんです。例えば『外伝』のオリジナルMS・イフリートの型番はMS-08で、実はグフ(MS-07)とドム(MS-09)の間を埋める形になっています。-キャラクターデザインの場合は、どのように進めているんですか?
稲垣:そのあたりも全部、サンライズさんとの共同作業ですね。『外伝』の場合は土器手司さん(注:アニメーター)にお願いしました。
(省略)-ゲーム中のアニメムービーや、CGムービーも同じようなスタイルで?
稲垣:そうですね。こちらで描いた絵コンテを、サンライズさんに監修していただいています。(以下略)------
補足>実はそれが、ブルーディスティニーの胸にミサイルランチャーが装備された理由です(笑)これについては、ブルーの設定資料集にてもう少し詳しく語られています。
いわく、大河原氏へ「一人称視点のゲームゆえに武器が見えないので身体に付いていたほうがいい」とオーダーし、「陸ガンのボツ案でミサイルが胸についたものがあるが、それを使っても良いですか?」と返答されたので「どうぞどうぞ!」という事があったそうです。
・・・『ガンダム外伝』製作のウラ話、なかなか面白い話を聞くことができました。
その他、稲垣氏へのインタビューは以下のリンクに。
ガンダムCGワークス GUNDAM DIGITAL ARCHIVES(1997)1996年東京おもちゃショー関連[1回]
PR