先日、古本屋にてこんな本を見つけました。
「電撃攻略王スペシャル ガンダムCGワークス GUNDAM DIGITAL ARCHIVES」
発行:メディアワークス
初版発行日:1997年4月15日
企画:B-CLUB編集部
1997年までに発売されたゲーム、PCソフトにおけるガンダムのCGワークスを紹介する本です。
ラインナップは以下の通り。
・GUNDAM 0079 THE WAR FOR EARTH (Mac)
・機動戦士ガンダム Ver.2.0 (PlayStation)
・機動戦士ガンダム (SEGA SATURN)
・機動戦士ガンダム外伝 ザ・ブルーディスティニー (SEGA SATURN)
・ガンダムタクティクス-MOBILITY FLEET 0079- (Pippin & Mac & Windows95)
・GUNDAM VIRTUAL MODELER PRO (Mac)
巻末には当時のバンダイ・デジタル・エンタテインメント、バンダイマルチメディア事業部へのインタビューが掲載されています。
当ブログ的には、やはりブルーに関する項目を紹介していきたいと思います。
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まず最初に掲載されているのが、これらのイラストです。
出典が明記されていませんでしたが、初出は当時バンダイより刊行されていた雑誌「B-CLUB」になります。それぞれ初出は
外伝1:Vol.131 96年10月号
外伝2:Vol.132 96年11月号
です。
(ブルー1号機のゴーグルが赤くなっていること注目なんですが、その辺の考察は今回は割愛。またの機会に…。また、外伝3に関するイラストがありませんが、B-CLUBにも外伝3イラストはありませんでした…確か。一応、確認はしたのですがイマイチ自信がありません。96年、97年当時のB-CLUBをお持ちの方、よろしければ情報プリーズ!)
ゲームのキービジュアルはじめ、劇中CGやイラストを掲載。
加えて、簡単ですが全ステージの攻略アドバイスが載っています。
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巻末には、当時のバンダイマルチメディア事業部の浅沼誠氏、高橋一陽氏、稲垣浩文氏へのインタビューが掲載。
その中から、稲垣浩文氏へのインタビューを引用して紹介したいと思います。
ゲーム開発にまつわる、興味深い裏話が語られています。
※以下、赤字、青字は本文より引用(注釈含む)
インタビュアー:(PS版ガンダム、SS版ガンダムの企画の話に続き)
「外伝」シリーズは?この作品だけ、オリジナルですが?稲垣:当時、セガさんで「バーチャファイター」を制作された時に開発された技術が、サードパーティーにも公開されたんです。それで、サターンで3Dポリゴンのアニメーションを表現するにあたって飛躍的な進歩があったんです。
で、いろいろと実験してみたんですが、ロボットを使ったゲームに打って付けだったんです。ロボットとなればバンダイの場合やはり「ガンダム」でしょう。
そこで、一番ユーザーがいるファーストガンダムでやることにしたんです。
ただ、今までと同じ「ガンダム」を作っても面白くないので、オリジナルにした訳です。サンライズさんが協力してくださったので、できたのです。
さらにそれを3部作で完結するようにしました。アニメのオリジナルビデオシリーズの感覚ですね。
「外伝」はシリーズ化することで、価格も低くおさえています。ただ、制作に入ってすぐにビデオで「08小隊」が出ることになって、ほとんどコンセプトが同じなんであせりました。
ただ、結果的には、この作品のおかげでいろんな設定が新たに産まれて、「外伝」は作りやすくなりましたね。
ガンダムというメカも、本来はアムロの乗った1機しかいないのですが、「08」で陸戦用ガンダムが出てくれたおかげで、「外伝」もその陸戦用ガンダムを改造した機体ということでブルーディスティニーを出すことができました。インタビュアー:なぜ、コクピット・ビューになさったんですか?稲垣:開発当時、サターンのソフトで、コクピット・ビューのゲームがなかったんです。
それと、プレイステーション版の「ガンダム」が、コクピット・ビューで評判が良く、サターンのユーザーもガンダムに乗りたいだろう、という点で。結果的に「外伝」のアンケートハガキでも、コクピット・ビューは、良いという評価を得ましたので。
しかし、東京おもちゃショーで、セガのブースに「ガングリフォン」が展示されていたのを見て、驚いたのを記憶しています。
(注・このソフトもコクピット・ビューを採用しており、「外伝」シリーズより先に発売されてしまった)インタビュアー:それぞれのソフトの力を入れた点や、苦労話などありますか?(中略)
浅沼(当時のバンダイメディア事業部開発課主任)
:「Version2.0」では、コクピットの設定がなくて。テレビ放送時には、きっちり設定されていないんですよ。
それで、よりリアルな物としてああしました。メインの画面が3分割されていますので、ちょっと見にくい部分もありますが、コアファイターのコクピットから考えるとあれが正解に近いはずです。(中略)
稲垣:「外伝」シリーズも、コクピット・ビューですが、よりゲーム的なレイアウトになっています。メインの画面を大きくとっていますし。
もともと「外伝」でプレイヤーが操縦するブルーは、オリジナルの設定なので、多少自由にできたんです。
ただ、モビルスーツに乗っているという雰囲気を壊さない程度のアレンジですが。インタビュアー:「外伝」シリーズの制作はどうでしたか?稲垣:「外伝」シリーズは、立て続けに3作を発表したのがきつかったですね。
1本1本の間の制作期間が短くて。しかも、そのままではなく、システム的にも毎回進化させていったので。それに3部作でデータを引き継げる形にしたのですが、これがやっかいでした。システムをいじっているのに引き継ぐというのが、結構大変でして。スタッフもわたしも、死にました。インタビュアー:物語は、どのようにして決められたのですか?稲垣:はじめはジオンでプレイするような物も考えていたんです。でも、ジオンでプレイすると、敵がジムとボールしかいなくなってしまうんですよね。
これではあまりに寂しいので、今の連邦側をプレイする形になったんです。
物語も3Dシューティングというシステムの性格上、あまり複雑な物ができなくて、はじめに作った物はあえなくボツにしました。
そのボツ物語から、仕様に合わせて組み直したのが、現在のストーリーです。
3部作ですので、プレイヤーが興味を失わないように大きな謎を設定して、引っ張る形になっています。※ここまで※
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初めて見る情報が幾つかありますが、ほぼ、「機動戦士ガンダム外伝 設定資料集」に収録された”スタッフ座談会”で語られていた内容と被っていますね。
と、いうわけで”スタッフ座談会”の内容から補足をしつつ、個人的に興味深かった点をいくつか。
>で、いろいろと実験してみたんですが、ロボットを使ったゲームに打って付けだったんですこの辺りはスタッフ座談会でも語られていますね。
ガンダムは無理と言われていて、試しにザクを作ってみたら出来たので「行けそうじゃん!」という感じだったみたいです。
>しかし、東京おもちゃショーで、セガのブースに「ガングリフォン」が展示されていたのを見て、驚いたのを記憶しています。96年に東京ゲームショーが開催される以前は、おもちゃショーでゲームが展示されていました。
と、いうことはガングリフォンの展示は95年のおもちゃショーになりますかね?
そのころには「外伝」の企画はスタートしていたようです。
ガングリフォンは”ロボットシミュレーター”とか”戦場シミュレーター”といった趣きがあるため、
同じ3Dロボットものでもスピード感のある外伝シリーズは上手く差別化できているなあというのが、個人的感想。
>制作に入ってすぐにビデオで「08小隊」が出ることになって、ほとんどコンセプトが同じなんであせりました。企画自体はブルーの方が先だったのか。08小隊のスタートを受けて始まった企画…かと勝手に勘違いしていました。
コンセプトが同じ、ってのは量産型MSで小隊を組んで戦うってあたりでしょうか。
加えて、「外伝」はコクピットビューということで複雑なストーリー展開が出来ないこともあり
当初はニュータイプ色の無いものを目指していたようでした(※1)。ミリタリー色の強いストーリー、という点も被ってしまっていたようですね。
結果的には、ニュータイプ要素のおかげで08小隊を差別化出来て良かったと思います。
>よりゲーム的なレイアウトになっています。メインの画面を大きくとっていますし。
もともと「外伝」でプレイヤーが操縦するブルーは、オリジナルの設定なので、多少自由にできたんです。ブルーのコクピットハッチが陸ガンのと形状が違うのは、この辺りが理由かも?
陸ガンのハッチのままだと、画面中央に線が入ってしまうから、そうならない形のハッチにしたのかも。
…と、いいつつブルーのハッチの形って陸ガン初期案のものと同じなんですよね※2。
初期案のハッチの方がゲーム的に都合が良かったから、そのまま使ったのかも・・・。
※1 ニュータイプ色の無いものを目指していた、というのは設定資料集、スタッフ座談会のアートディレクターのコメントより。
本文中にもある「はじめに作った物」で既にニュータイプ要素やEXAMの設定があり、
ストーリーはゲーム向きではなかったがそういった要素は残して再構成していった、という趣旨のコメントがあります。
※2 陸ガン初期案のデザインを流用したのがブルー、というのは有名な話ですね。
ハッチの形に限らず、初期案には陸ガンよりブルーに近い部分が多数みられます。
なお、陸ガン初期案のイラストは「大河原邦男 GUNDAM DESIGN WORKS」という本に収録されています。
当ブログでも、いつか特集してみたいと思います。いつか…。
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こんなところでしょうか。
「外伝」に限らず、90年代後半のガンダムゲーム事情が伺える本となっていますので
興味のある方は探してみてはいかがでしょうか。
余談
>「Version2.0」では、コクピットの設定がなくて。テレビ放送時には、きっちり設定されていないんですよ。あれ?設定は知らないけど、設定
画なら放送時には既にあったような気がしなくもない…
そういえばSS版ガンダムのアニメパートのコクピットデザインって確かカトキハジメがやってたはず。
やっぱりコクピット設定がないから、カトキハジメが新しくデザインしていたのかな?
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