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機動戦士ガンダム外伝THE BLUE DESTINYについて取り扱うブログです。ブルーディスティニーに関するいろいろなコラムを書いています。

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2024-11-21-Thu 17:31:24 │EDIT
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2009-09-21-Mon 03:20:01 │EDIT
『覇王ゲームスペシャル[71] 機動戦士ガンダム外伝Ⅱ 蒼を受け継ぐ者
 テクニカルガイドブック』
より、千葉智宏氏によるオリジナル短編小説「蒼き騎士の探求」をお送りします。
紹介するのはエピソード2、3の予定でしたが
今回は2だけです。ゴメンね。

-----
2.事故
(ニムバスの回想)
クルストの研究所はフラナガン機関の中でも特殊な部類であり、
普通の人間にニュータイプ並みの戦闘能力を持たせるシステムの開発を目的としていた。
ニュータイプの戦闘能力を純粋に抽出し、それをコンピューターにプログラムすることで
一般の兵士が操縦しても、ニュータイプと同じ動きができる、というものである。
実験には”MS-08TX イフリート”を使用。
高性能だが、操縦の難しさと生産性に問題があり、量産が見送られた機体だった。
EXAMシステムの能力を最大限発揮できるよう各部が改造され、
”MS8-TX[EXAM]イフリート改”と呼称された。
私はそのパイロットとして配属され、サポートにマリオン・ウェルチというニュータイプの少女が充てられた。
私がコックピットにつき、マリオンは外からEXAMシステムにサイコミュで指示をだす。
このようにしてニュータイプの動きを学習させていくのだ。
実験を繰り返す日々が続く。
戦場で勇敢に戦うのに比べて騎士としての血が疼くこともあったが、
それでも”国の役に立っている”という認識が私の支えになっていた。

ある日。
実験の中、私はマリオンに元気が無いのが気にかかった。
「この戦いが終わっても、人類の戦いの歴史が終わるわけじゃないのね…」
意味深な言葉。彼女に何かあったのだろうか?
そして直後の実験で…事故が起きた。
マシンが突如、所かまわず攻撃を始めたのだ。
私の制御を全く受け付けず暴走する機体。
その動きに耐え切れず、1分とたたないうちに失神してしまった。
暴走は、5分後にはあっけなく終わったらしい。
機体自体が動きに耐え切れずオーバーヒートしたためだ。
なんとか一命を取り留めた私だったが、一番の被害者はマリオンだった。
EXAMとサイコミュで繋がっていた彼女の意識が、戻らなくなってしまったのだ。
研究所唯一のニュータイプを失ったことで、プロジェクトは中止になると思われた。
しかし…
その3日後、EXAMシステムは完成した。
それを搭載したイフリート改は、マリオンがいないにも係わらず
彼女がサポートしていた時以上の性能を発揮したのだ。
…クルストは一体どんな魔法を使ったのだ?

あれ以来、実験では暴走を起こすこともなく、
EXAMの兵器としての有効性は高いように思われた。
だが、当のクルスト博士は現状に満足していないようだった。
「あれでは、まだ足りない。あの暴走のような力が必要なのだよ…」
博士の呟きを、私は聞き逃さなかった。

そして…博士はジオンを裏切り、連邦へ亡命した。

---
物思いにふける私を現実に引き戻したのは、
部下からの報告だった。
どうやら、連邦のEXAM搭載モビルスーツによって
友軍のミサイル基地が壊滅させられたらしい。
これにより、連邦のカリフォルニア・ベース侵攻部隊を
止める術はなくなった。

連邦のEXAMマシンが、既に稼動している。
思っていたより、事態は急を要するようだ。
奴はおそらく、このまま侵攻部隊に加わるだろう。
「よし、カリフォルニアベース向かうぞ。必ずそこに現れるはずだ!」




-----
EXAMシステム開発当時のエピソードが語られます。
・”ニュータイプと同じ動きができる”について
 これはEXAMシステムの特徴として記述されることが多い表現ですが、
 いまいち具体的ではありません。
 が、今回のエピソードにて具体的に書かれた箇所があったので、引用してみます。

『モビルスーツの動きは、銃を撃つ、歩く、など一つ一つの動作が
 あらかじめプログラムされている。そのプログラムされた動きを、
 パイロットが選び出し組み合わせることで、人間に近い動きをすることができるのだ。
 ”EXAMシステム”は、その一つ一つの動きを、人間からニュータイプの
 動きに置き換えたものだと思えば分かりやすいかもしれない
 (もっとも、ニュータイプも生身の運動能力は常人と
  変わるところはない)。
 銃を撃つ動作一つでも、的確に、素早く、ターゲットを
 捕らえることができるのだ』

・ニムバスとマリオンの関係
 原作ゲームではニムバス、マリオン両者の関係は描かれませんでした。
 その他メディアでは、どうでしょうか?
 漫画版ではマリオンに自身の劣等感を見透かされて哀れむ言葉をかけられ、
 小説版では、ニムバスはニュータイプへの劣等感の象徴としてマリオンを敵視、
 自らの力を示すため婦女暴行していました(明確な表現は無し)。
 この2つ以外で両者の関係が描かれる機会はほとんど無かったため、
 両者の関係は漫画版及び小説版のイメージが強い方も多いと思います。
 そんな人にとって、短編小説版で描かれる両者の描写はとても新鮮に映るかと思いますので、
 二人の会話を本文より引用してみます。

 「どうした、マリオン」
 「ニムバス…この”EXAM”が完成すれば、戦いは終わると思う?」
 「…おそらくな。このシステムが量産化されれば、
  連邦との戦いは時をおかずして、ジオンの勝利に終わるだろう」
 「…でも、それで人類の戦いの歴史が終わるわけじゃないのね…」
 「なぜ、そんな事を言う?どうかしてるぞ。何かあったのか?」
 「いいえ、なんでもないの…さあ、実験をつづけましょう」

 マリオンの様子が気になって声をかけ、彼女の話を聞いてやるニムバス。
 従来のニムバス像からは想像も出来ない会話をしています。
 短い描写ですが、漫画版や小説版のように仲が悪かった様子はなく、
 むしろ実験を通してお互いに信用を置いていた、とさえ伺えます。
 公式・非公式はさておいて、こんなニムバスも新鮮で面白いですね。

-----
次回はエピソード3、4の予定。
ニムバスの視点から見た
ブルー1号機との対決、そして
これまた具体的に描かれる機会の少ない
連邦EXAM研究所襲撃の様子を紹介してみたいと思います。

拍手[1回]

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2009-09-11-Fri 01:20:32 │EDIT
『覇王ゲームスペシャル[71] 機動戦士ガンダム外伝Ⅱ 蒼を受け継ぐ者
 テクニカルガイドブック』

より、千葉智宏氏によるオリジナル短編小説「蒼き騎士の探求」をお送りします。




ニムバスの視点でストーリーは進み、
ゲーム本編、マンガ版、小説版とも違うニムバス像が伺えて、
なかなか面白い話になっています。
プロローグ+エピソード1~4の計5章のうち、
今回はプロローグとエピソード1を紹介します。


-----
プロローグ

クルスト博士が”EXAMシステム”を持って
連邦に亡命した、その3日後。
私、ニムバス・シュターゼンはジオン軍ニュータイプ研究機関、
”フラナガン機関”の警備隊長より、命令書を受け取っていた。

キシリア閣下より直接下された、A級極秘命令。
『亡命したクルスト博士の拘束…もしくは殺害。
 ”EXAMシステム”搭載マシンの奪取…もしくは破壊』

クルスト博士はその理論の異端性からフラナガン機関内でも冷遇されており、
ろくな研究施設も与えられていなかった。
そして、研究成果である”EXAMシステム”も、上層部には欠陥品の烙印を押されていたため
「実用化のめども立たないシステムなど、連邦にくれてやってもいい」
というのが警備隊長の本音であった。
が、ニュータイプ関連技術は軍の極秘事項であり、その流出には違いないため
上層部が慌てるのも無理はなかった。

隊長は「作戦成功の暁には最前線に戻れるよう取り計らってやる…」と話し、
私の過去に触れる。
かつて私は、ある戦闘中に退却命令を出した隊長機を破壊し、戦闘を継続。
敵を撃退するも味方も全滅させてしまった。
それが原因で、冷遇される研究所に左遷されたのだ。

しかし、あの局面で退却してしまったら、後続の部隊が背後を敵に晒すことになる。
自分の判断は正しかった、と主張するも
「”騎士”を自称する、君らしい立派な御意見だな…」
と、警備隊長は皮肉を返す。
私は、感情を殺した表情でそれを受け流し、部屋を退室した。
しかし、内心は怒りに満ちていた。
<『最前線に戻してやる』だと?要するに、クルストともども厄介払いがしたいのだろう…>

下衆な男だ…。
そして、それより許せないのがクルストだ。
自分が命を削って集めた”EXAMシステム”のデータを持ち去り、
ジオンを、自分を裏切り、連邦に寝返ったのだ。
拘束などしない。必ず見つけ出し、八つ裂きにしてやる。
騎士としての誇りにかけて…

---
1.対決

諜報部の情報から、連邦の”EXAM”マシンを積んだ輸送機を発見。
撃墜するも、墜落ポイントには何も知らない友軍のザク隊が先回りをしていた。
任務の秘匿性ゆえ、隠密行動を要求される私にとっては
邪魔者以外の何者でもなかった。
最悪、”EXAM”マシンに気づかれた場合、
たとえ友軍であろうと撃破しなければならない。
やるなら、油断している今しかない。
手に汗が滲む…迷うことはない、これは任務なのだ。

その時、墜落現場に現れた連邦軍が攻撃を仕掛けた。
不意を打たれ、友軍はあっさり全滅。
なんと不甲斐ない…。ザク隊への怒りが沸く。
しかし、これで姿を隠す必要も無くなった。
連邦相手なら、何のためらいも無い。
「”EXAM”の名の下に、お前らを葬り去ってやる!」
愛機、イフリート改を駆り、私は連邦のジム隊に襲いかかった。

イフリート改は、推力だけならジオンでも
トップクラスの性能を誇る。
並大抵の操縦技術で扱える代物ではなく、
私の操縦と、”EXAM”システムのサポートをもってして、
恐るべき性能を発揮することができる。
私は1分もたたないうちに、3機のジムを撃破した。
連邦軍とは、この程度のものなのか?
腰抜けのパイロットに、脆弱なモビルスーツ。
こんなものを手に入れるために祖国を、そして私を裏切ったのか?
クルストへの怒りが湧き起こる。
次々と敵機を撃破する中、1機だけ手ごわい相手がいた。
”EXAM”の動きに食らいつくジム…
こいつに手間取るうち、連邦の援軍の接近をキャッチした。
その数、10機以上。
既に戦闘が始まって3分が経過していた。
残り2分の稼動時間で奴らを相手にするのは、いささか不利だ。
「クルストよ、次に会うときが貴様の最後だ!」
私は撃墜した輸送機を残し、いったん退却をした。

-----
◆プロローグより
地球へ降下する直前のニムバスの様子が描かれます。

・隊長殺害のエピソード
 ニムバスのキャラクター紹介につきものの
「撤退命令を出した隊長を殺害」というエピソードについて
 少しだけ詳細に語られています。

 マンガ版・小説版などからくる従来のニムバスの人物像では
 「それでもジオン軍人か!恥を知れ!」といった理由で
 隊長機を撃破したイメージがありますが、
 短編小説版ではもっと別の理由が語られます。

 「隊長を殺害してまで撤退するわけにはいかなかった理由」として
 「後続の部隊の危険にさらさないため」とあります。
 これを”味方のための自己犠牲”とするならニムバスは本当に騎士道精神に従って
 行動した、と言えます。

 従来の人物像である「強烈な自己正当化から騎士を自称するニムバス」
 ではない、ちょっと新鮮なニムバス像が伺える興味深いエピソードとなっています。

・警備隊長とニムバス
 警備隊長は、EXAMシステムを未完成なシステムと見てますが、
 対するニムバスはシステムと、搭載した機体は十分に機能するものだと
 反論する場面があります。
 とにかく、この二人は仲が悪い。
 ニムバスが厄介者扱いされていた様子が伺えます。

◆1.対決より
・友軍機への攻撃というシチュエーション
 輸送機確保のため、友軍機を撃破するべきか、否かという状況に陥ります。
 漫画版、小説版ではアッサリと友軍を撃破したニムバスですが、
 短編小説版では葛藤する場面、そして「これは任務だ」と、
 自分に言い聞かせる場面があります。
 これも、従来の人物像と違う面ですね。
 …かつて隊長機を攻撃したときも、このような葛藤があったのだろうか?
 ニムバスでそんな妄想をしてみるのも、ちょっと新鮮な感じです。

・EXAMのサポート
 EXAMシステムは、具体的にどのような働きをするのか?
 いまいち明かされない要素ですが、それについても
 少しだけ詳細に描写があったので、それを抜粋してみます。
『イフリート改のヒートサーベルは、その武器そのものの威力は、
 グフのヒートサーベルと大差ない。
 しかし、わたしの操縦テクニックに”EXAMシステム”の
 サポートが加わることにより、剣をふる角度、スイングするスピードが
 もっとも威力の高まる形になる』

-----
短編小説版のニムバス像はどこまでオフィシャルなのか?…というのはさておき、
新たな人物像が次々見えてくるので、なかなか面白い内容となっています。
次回はエピソード2と3を紹介予定。
なんと、マリオンを心配して気遣うニムバスが描かれます。
お楽しみに…。

拍手[1回]

2009-07-26-Sun 23:55:38 │EDIT
『覇王ゲームスペシャル[69] 機動戦士ガンダム外伝Ⅰ 戦慄のブルー テクニカルガイドブック』

より、千葉智宏氏によるオリジナル短編小説「蒼き死神の系譜」をお送りします。
前回はシーン4まででしたので、今回は5~8です。
ゲーム版設定と微妙に違う箇所があるので、それを比べてみるのも面白いかと。

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シーン5・ユウ/U.C.0079.11.7

オデッサ作戦。
地球連邦軍による、大反撃作戦が開始された。
作戦に使用されたのは、ほとんどが従来の兵器だったが
その物量はジオンを圧倒するのに十分だった。
ユウたちモビルスーツ・パイロットは、出来立ての新型モビルスーツ”ジム”で
参加することになったが、
ジムの存在をジオンに知られるのを恐れた上層部の指示により、
ただの後方支援として扱われる事になってしまった。

戦いは連邦軍の圧勝に終わった。
が、ジム部隊の活躍は、惨憺たるありさまだった。
敵との交戦で破損した機体が3機。
遠距離からの砲撃に慌てふためき転倒、頓挫した機体が6機。
満足に敵と戦うことなく、部隊は崩壊したのだ。

ミノフスキー粒子下での近接戦闘を主眼において開発された兵器である
モビルスーツを後方支援に回すという愚行。
これはジムの性能の問題ではなく、運用ノウハウの問題であった。
連邦は、もっとモビルスーツの戦略を学ばねばならない。

オデッサ作戦の後、モビルスーツ部隊は解体され
隊員たちはモビルスーツの教官として各地に配属されることになった。
しかし、ユウだけは違った。
部隊でトップクラスの成績を残していたユウは、
モビルスーツの運用データを集める新設実験部隊への配属となったのだ。

---
シーン6・アルフ/U.C.0079.11.7

オデッサ作戦が開始された、この日。
アルフはブルーの最終調整に追われていた。
「今日は多くの人が死ぬな…。ブルーに何かが起きなければいいが」
クルスト博士の意味深なつぶやきを、アルフは不審に思った。

そして、それは突然起こった。
激しいターボ音がブルーからうなり、研究所に響き渡る。
「すぐにブルーのエネルギーを切るんだ!”EXAM”が暴走する!」
博士の叫びの意味を理解すのに一瞬を要したアルフ。
その一瞬の遅れが、恐るべき事態を引き起す。
パイロットも乗っていないはずのブルーが突然動き出し、暴走したのだ。
工場内で破壊の限りを尽くしたブルーの暴走は、きっかり5分間、続いた。

事態が収まった後、アルフはクルストを追求。
クルストはEXAMシステムの”暴走”について語りだした。
・EXAMシステムは驚異的な性能を発揮する変わりに、マシンに強い負担をかけてしまう。
 そのため能力をセーブするプログラムをしているが、”暴走”が始まると、そのタガも外れてしまう。
・EXAMシステムは戦場の状況を敏感に感知しているらしい。
 その副作用として、周囲で多くの者が死ぬと、その魂の叫びに感化され、
 システムが暴走してしまう。
・暴走が始まると、機体がオーバーヒートするまで狂い続ける。
 パイロットからの制御も受け付けず、それどころか
 パイロットの精神を破壊してしまうことがある。
・ジオンでは実験では3人が発狂した。
・戦場で人が多く死ぬのは当たり前であり、このままでは兵器として使えない。
 ジオンでもそう判断された。
 それを打破する答えを求め、博士は連邦に亡命してきた。

ブルーは、オデッサで死んだ者達の魂の叫びに感化されて暴走したのだ。
アルフは、自分が心血を注いだブルーに、そんな欠陥システムが積まれていることに落胆する。
同時に、一つの決意を固める。
欠陥があるなら、実戦をとことん重ねてデータを集め、改修するしかない。

モビルスーツの実戦データ収集を目的としたモルモット部隊が創設されるはずだ…
彼らの側なら、常に魂の叫びが存在するだろう。
連邦本部に連絡を取り、モルモット部隊の次の出撃予定を聞きだすアルフ。
彼らが戦う戦場にブルーを運び込み、EXAMの暴走の謎を解くのだ。

---
シーン7・ユウ/U.C.0079.11.29

ジオン基地へ夜襲を仕掛け、
モビルスーツの夜間戦闘データ収集を行ったモルモット部隊。
作戦を終え、部隊が撤収を開始した時、そいつは現れた。

急速接近する、謎の蒼いモビルスーツ。

その特徴はジム・タイプのようだが
ユウたちのジムとはケタ違い機動性をみせ、
全身に搭載した火器で次々に友軍機を撃破していく。
「本当に、人間が乗っているのか?」
ユウは部隊の仲間であるフィリップ、サマナと共に
スリーマンセルで反撃に出るも、恐るべき反応と戦闘能力の前に
苦戦を強いられる。
連携の末、ユウは蒼いジムのコックピットに、ビームサーベルを突き立てる。
倒した、と思った矢先、蒼いジムはバーニアを全開に噴かし、
逃げ去ってしまった。

奴は恐らく、何かのデータ収集が目的の実験機だろう。
データを持ち帰るのが最重要だから、
パイロットがやられても自動帰還するようプログラムされていたのだ。
「…もしかしたら、俺たちは奴のデータ収集に使われたのかもしれない」

---
シーン8・アルフ/U.C.0079.11.29

帰還したブルーを見て、アルフは愕然とする。
パイロットが死ぬのは予測していたが、ここまでダメージを受けるのは予想外だった。
モルモット部隊に、とんでもないパイロットがいる。
もしそのパイロットがブルーに乗ったとしたら、
どれほどの力を見せてくれるのか!?
ブルーの実験を続ける上で、欠かせない逸材を発見したアルフ。
部下に研究所への帰還を命じると、彼は連邦本部へと向かった。
ブルーを撃退させたエースパイロットを手に入れるため…

-----
◆シーン5より
おそらく連邦製モビルスーツ部隊の最初期組であろう、ユウの苦労が伺えるエピソード。

◆シーン6より
EXAMシステムの、幾つもの欠陥が判明するエピソード。
・たくさんの人間の死に反応して発動する、とありますが
 ゲーム版の設定では”近くで”という前置きがあったので、
 その設定をこの短編小説でも反映するならば、
 このころアルフたちはオデッサの近くで研究をしていたことになる。
 …オデッサ基地のすぐ近く?一体どこだ。
 ほとんどジオンの勢力圏では?
 まあ、その辺はあまり深読みしても意味がないかな。

・ブルーの暴走がきっかり5分続いた、とありますが、
 ゲーム設定では、ブルー1号機のモルモット隊襲撃事件の後、
 アルフが付けたリミッターの作用で5分で停止するようになっています。
 短編小説版できっかり5分で止まったのは、なんでだろう?
 
・「実験で3人が発狂したよ」なんてしれっと言っちゃうクルストと、
 「こうなったら実験部隊を犠牲にしてデータ集めたる!」なアルフ。
  お前らいいコンビだなw

 まじめな会話のはずなのに、クルストのマッドっぷりと
 それに負けないアルフの発想が妙に笑えます。

◆シーン7より
ゲームだと、1巻第1話が部隊の初陣のような会話をしてますが、
短編だと既に幾つかの戦闘を経験しています。

…また、ブルーがフィリップ、サマナのビームサーベルを
両手で受け止め、そのまま投げ飛ばすなんて描写があります。
『まさか、メガ粒子をフィールドで形成しているビームサーベルをつかんで、投げるとは…』(本文より)
これにはさすがに吹かざるを得なかった。

◆シーン8より
逸材のパイロットを発見して…
『飛び立つミデアを見送りながら、オレの心は、ウキウキしていた』(本文より)
子供のように喜ぶアルフ。
ウキウキしちゃったんなら、仕方ないね!


◆その他
なぜブルー1号機はユウたちの部隊を襲ったのか。
そして、なぜユウがブルー1号機のパイロットに選ばれたのか。
この辺はゲームでは描写不足でしたが、
今回の短編小説で補完された格好となっています。
ゲームと短編小説、幾つか設定が食い違うところがありますが、
この2点については短編小説版の設定が公式、と考えて差し支えないと思います。

-----
次回は、『蒼を受け継ぐ者』の攻略本に収録の短編をお送りします。
ニムバスの視点で、回想を交えて描かれるストーリーとなっています。
お楽しみに。

拍手[1回]

2009-06-17-Wed 20:56:37 │EDIT
今回より攻略本の紹介です。



かつて講談社より発行されたゲーム雑誌『覇王マガジン』の編集部による攻略本で、
ブルー3部作それぞれの攻略本が出版されています。
今回は
『覇王ゲームスペシャル[69] 機動戦士ガンダム外伝Ⅰ 戦慄のブルー テクニカルガイドブック』
をお送りします。




…といっても、内容は普通に攻略本です。
記事自体には、あえて特筆することはありませんが…
この本には攻略情報以外に、大きな要素があります。

それは、ゲームのシナリオ担当の千葉智弘による
オリジナル短編小説が載っていることです!

と、いうわけで今回から数回に分けて、
オリジナル短編小説の内容について紹介してみたいと思います。

短編小説はさまざまなキャラクターの視点で描かれており、
原作ゲームでは描かれなかった、物語の裏側が楽しめます。

挿絵は、ゲーム画面の写真、
高山瑞穂氏のマンガからの流用イラスト、
及び今回のための書き下ろしイラストで構成されています。

また、皆川ゆか氏が小説版執筆にて、そして高山瑞穂氏が漫画版を描くにあたり参考にしたと思われる箇所もあるので、
比べてみるのも、面白いかもしれません。

第1巻では、ユウ・カジマとアルフ・カムラの二人の視点から、
一年戦争開戦前後~ブルー1号機の暴走までが描かれます。
今回は全8シーンのうち、4までを紹介します。

-----


シーン1・ユウ/U.C.0078.12.27

ユウ・カジマ少尉とその相棒、フランク。
二人は宇宙戦闘機で、とある廃棄コロニーの調査を行っていた。
コロニー周辺で不審な、大量のミノフスキー粒子が検出されたためである。
調査の中、二人は一つ目の巨大な人型ロボットと遭遇する。
”巨人”は廃棄コロニー内を自由自在に動きユウたちを翻弄。
フランクはミサイルを発射するも、レーダー波を攪乱するミノフスキー粒子の中にあっては、
全くの役立たずであった。
パニック状態のフランク。ユウは機を急旋回させるも巨人の持つマシンガンの攻撃を受ける。
機体は爆発、四散しユウは空中に放り出され、気を失ってしまった。

次に目覚めのは、軍病院のベットであった。そこでユウは、一人の”大尉”の面会を受ける。
大尉からは、さまざまな事実を知らされることとなった。
”巨人”の正体は、サイド3のジオンが開発した新兵器「モビルスーツ」だということ。
近いうちに、ジオンと戦争になるだろうということ。
そして、相棒のフランクが死んだこと。

大尉の話によると、連邦軍もモビルスーツを脅威とみなしており、
対抗してモビルスーツの開発をスタートさせることになったという。
大尉は、モビルスーツと交戦し、初めて生還したというユウをスカウトに来たのだ。

モビルスーツの力を、身をもって知ったユウ。
復讐なんて、がらじゃない。
しかし、あの巨人を倒せる力が得られるのなら…モビルスーツのパイロットも悪くない。
ユウは誘いを受けることにした。

それは、後に「一年戦争」と呼ばれる戦いの、一週間前の出来事であった。

---
シーン2・アルフ/U.C.0079.9.23


連邦軍のモビルスーツ”ジム”の開発が始まった。
アルフ・カムラは機体整備の仕事に追われる中、整備班長から”ニュータイプ”の話を聞かされる。
それは、宇宙時代に適応した新人類。戦闘ではビームすらよけてしまう…
技術屋としては、とても信じられない話だった。
そんな”ニュータイプ”の戦闘能力を研究していたジオンの科学者が連邦に亡命、
研究成果としてモビルスーツ用のOSを持ち込んだため
それを組み込んだ機体を製作することになったという。
そして技術屋としての腕を見込んだ班長は、そのプロジェクトにアルフを指名してきたのだ。
レビル将軍が力を入れているプロジェクトであり、高性能のスペックを目指すために
生産性、コストは度外視していい…とのことだったが、
ジムの量産に向けて忙しい時期だけに、面倒事であることには違いなかった。
(要は、自分がやりたくないから俺に押し付けるんだろう?)
アルフは内心舌打ちをしつつ、その申し出を受けることにした。

---
シーン3・ユウ/U.C.0079.9.23

モビルスーツのパイロット候補生として、さまざまな経歴の者が集まった。
戦闘機乗り、ヘリのパイロット、戦車の砲撃手など…
皆、もとの部隊でトップクラスの腕の持ち主だった。
だが、訓練用の機材は間に合わせのものばかりだった。
本物のモビルスーツなどなく、シミュレーターでの訓練の日々が続いていた。

---
シーン4・アルフ/U.C.0079.10.3

ジオンからの亡命者、クルスト・モーゼス博士。
この日、アルフは初めて博士と会っていた。

60に近い年齢のはずだが、自分よりもガッシリした体格であり、
その風貌・言動から”マッド・サイエンティスト”というのが最初の印象であった。
アルフはクルストの著書『人類は”EXAM”になれるのか』という本を押し付けられる。
クルストの理論によると、ニュータイプとは来るべき人類との戦いのために進化した者達、
ということらしいが、他のニュータイプ研究者からは異端視されていたようだ。
(そのせいでジオンから追い出されたのは想像に難くなかった)

EXAMに関する博士の話をまとめると、次のようになる。
・ニュータイプの戦闘能力を純粋に抽出するシステムをもってニュータイプに対抗しようというのが”EXAMシステム”である
・研究に莫大な時間と資金が浪費されるも開発が難航する中、ある日事故が起きた。
 事故の原因は不明だが、協力していた一人のニュータイプの少女が犠牲となり、
 システムが突然機能するようになった。
・EXAMを搭載したMSはごく普通のパイロットが操縦してもニュータイプ並の動きができ、
 さらに、あくまでコンピュータ用ソフトなので、簡単にモビルスーツに組み込むことが出来る。
・しかし、EXAMは機体の性能を限界まで引き出すため、機体とパイロットにかかる負担が非常に大きい。ジオンでの実験では5分以上耐えたことがなかった。

この話が本当なら、ジオンが博士の亡命を許してしまうとも思えない。
システムに対し懐疑的になりながらも、アルフは仕事に取り掛かる。

RGM-79[G] 陸戦用先行量産型ジムをベースに行った予備実験では
EXAMはウソのように機体性能を引き出した。が、機体の出力が全く足りなかった。
博士の言った通りだった…
そのため、システムを残した頭部はそのままに、陸戦用ジムより上位の機体である
RX-79[G] 陸戦用量産型ガンダムをベースに使用することになった。
さらに、レビル将軍の手配で、実験段階にあったマグネット・コーティングを施すことができた。
あらゆるものを詰め込み、性能をあげてゆく機体。
初めは嫌々ながら付き合っていたプロジェクトにアルフは次第にのめりこんでいく。

そして機体は完成した。
クルストは完成した機体の全身を蒼く塗装し、こう命名した。
ブルーディスティニー(蒼い運命)と…

-----
◆シーン1より
・1年戦争開戦直前のユウ・カジマが描かれています。
ザクと遭遇してモビルスーツの脅威を思い知る、という流れは
皆川ゆか小説版でも描かれていました。
皆川版では、発砲が戦争に繋がる恐れがあるため、双方、攻撃を仕掛けることはありませんでしたが、宇宙戦闘機では不可能な動きを目の当たりにすることで、脅威を抱いています。

・高山瑞穂による漫画版にも登場した”フランク”の名前があります。
漫画版ではユウの士官学校時代の同期であるエイミーの亡夫という設定でした。
漫画版と短編小説版のフランクについての接点は不明ですが
繋がりを想像してみるのも、面白いかもしれません。

ちなみに、ここでユウが乗る戦闘機は複座式。
ユウが操縦、フランクがガンナーです。

・注目すべき点は、”ユウ・カジマが戦う理由”が描写されていることですが、
これは「短編小説版の味付け」として考えるのが正しいかと思います。

その理由として…

今現在、ユウ・カジマというキャラクターは小説版・漫画版などの要素を含み確立した感がありますが、
そもそもユウはゲームのプレイヤーが感情移入しやすいキャラクターとして作られ、性格・素性などの設定は最低限しかありませんでした。
それらはプレイヤーの想像に任せる、というのが当初のスタンスであり、
彼の戦う理由もまた、しかりでした。
設定資料集の千葉智弘氏のコメントにも、そういった趣旨のコメントがあります。

「プレイヤーの想像に任せる」という原則がある以上、
短編小説版でのこの描写は、小説形式で書くための演出であり、
プレイヤーの想像を侵害するものではない…と、僕は思います。

・「連邦軍もモビルスーツを脅威とみなしている」といった描写がありますが
連邦軍はむしろ、モビルスーツを「ジオンの人形遊び」として軽くみていました。
ただ、開戦以前から連邦もモビルスーツの研究をしていた、という設定もあるので
これについては連邦の”ごく一部”が脅威とみなしていた、と考えるべきでしょうか。

・話に登場する”大尉”については、
単にユウをモビルスーツ研究部門に導かせるために用意したキャラであって、
特に詳細な設定はないと思われます。


◆シーン2より
・アルフがEXAMに関わるきっかけが描かれています。
整備班長は、周囲から「おやじさん」と呼ばれ、慕われていますが
そんな彼すらアルフは苦手。対人関係が苦手な、いかにもアルフらしい描写があります。

・班長の話す”ニュータイプ”について気になる点が。
「戦闘ではビームをよける」と言ってますが、これはさすがに早すぎでは?
戦場でのニュータイプの活躍、つまり宇宙世紀0079の頃だとアムロ・レイをはじめホワイトベース隊の活躍にあたりますが、
それが広まるのは早くてもガルマ・ザビを倒した辺りからなので、
ニュータイプの活躍に尾ひれがついたもの…と考えても、9月では早すぎる
ましてビームを避ける様な戦闘には、終盤まで遭遇していません。

あと、この頃のニュータイプ論といえば
かつてジオン・ズム・ダイクンによって提唱されたものぐらいしかなく、
一般人の認識としては「宇宙という新しい環境に適応した人類」程度のものだったのではないでしょうか。


7/2*追記*
宇宙世紀0079、9月頃の”ニュータイプ”への一般の認識について。
戦場でのニュータイプの活躍=ホワイトベース隊の活躍、と書いてしまいましたが、大事なことを失念していました。

それは、一週間戦争のジオンのエースパイロットの活躍です。

驚異的な戦渦を挙げた者、戦艦のメガ粒子砲を避けることが出来た者を
ニュータイプ能力によるものとジオン公国軍は着目してわけで、
それなら「パイロット適正の高さ=ニュータイプ能力によるもの」という
認識は一年戦争初期からあったのではないだろうか?
その話に尾ひれがついて前述の班長の発言に繋がった、とするなら
班長の発言に矛盾はなくなります。

ガンダムエース2009年8月号のデータガンダム「ララァ・スン」及びニュータイプ関連の特集を踏まえて再考してみました。

◆シーン3より
ありあわせの設備だけで苦労する様子や
モビルスーツをOSが動かす仕組みについて、簡単な描写があります。

◆シーン4より
アルフとクルスト・モーゼスの初対面の様子。
そういえば、この二人の絡みは漫画版、小説版ともにほとんど無いので
このシーンは結構貴重かもしれません。
また、漫画版・小説版では寡黙な様子だったクルストですが、
短編小説ではかなりフレンドリーに接してきます。
それに圧倒気味のアルフもまた面白い。

-----
シーン5~8は、また次回。

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2009-01-11-Sun 03:52:50 │EDIT
今回は、先日発売された「GUNDAM LEGACY」の1巻より、ユウ・カジマのエピソード「RECORD 02 蒼き宇宙の彼方に」を紹介します。

ガンダムレガシーの詳細についてはこちらを参照。
-----
RECORD 02 蒼き宇宙の彼方に

宇宙世紀0079年、12月。ルウム戦役の残骸漂うサイド5宙域にて『裁かれし者』…。
2機のガンダム・タイプのモビルスーツが死闘を演じていた。
ユウ・カジマ中尉の乗るブルー3号機の攻撃により、ニムバスのブルー2号機は致命傷を負った。
ニムバスは叫ぶ。
「ここでキサマが勝ったとしても、戦いに終わりなど来はしない!!終わりなど…」
そして、2号機は爆発した。
ユウはヘルメットを脱ぎ捨てる。
勝負は決した。しかし、ニムバスの最期の言葉に、ユウは煮え切らない気持ちであった。

刻はめぐり、宇宙世紀0093年。
グリプス戦役より行方不明になっていたシャア・アズナブル。
ネオ・ジオンの総帥として表舞台に帰ってきた彼は連邦軍に宣戦を布告し、
地球連邦政府の拠点であるチベットのラサに小惑星5thルナを落下させ、これを壊滅させる。
そして次に、小惑星アクシズを地球に落下させようとしていた。
地球連邦軍外郭部隊ロンド・ベルは核ミサイルによる破壊を試みるも、失敗。
アクシズは地球への落下コースをたどっていた。

ユウ・カジマ大佐は地球連邦軍のMSパイロットとして、ジェガンのコックピットに在った。
部下と共にアクシズ落下を阻止せんと奮戦するも、ギラ・ドーガ隊の激しい襲撃にあう。
「いつまで人はこんな戦争を続けるつもりなんだ…」

戦闘の中、通信が入る。
ロンド・ベルはアクシズの分断に成功するも、二つに割れた破片の一つが、大気圏への突入を開始したというのだ。
その報に、ユウは愕然とする。
『大佐、これ以上の作戦遂行は無駄です!残念ですが、アクシズの破片は地球へ…』
「無駄なものか!」
ユウは叫び、バーニアを全開にして、アクシズの先端へ向かっていく。

そこで彼が見たのは、アクシズを押し返そうとする多数のモビルスーツの姿だった。
中には、敵であるはずののギラ・ドーガまでいる。
『離れろ!こんな事に付き合う必要はない!』
何者かの悲痛の通信が届くが、1機もそこを離れようとはしない。
そしてユウもまた、アクシズを押し返そうとしていた。
「そうだよ、そうなんだ!誰にだってわかってることじゃないか!こんなところで地球に育む生命の歴史終わらせちゃいけないってことぐらい!!」
大気との摩擦熱とオーバーロードで、機体は限界に達していた。
「限界か…!」
その時、落下するアクシズの先端から激しい光が発っせられ、アクシズに取り付くMSたちを弾き飛ばしていった。
ユウはその光の中、人の暖かみを感じた。

…アクシズは光に導かれるように上昇していき、落下機動から外れた。
コックピットから出たユウは、ただそれを眺めていた。
そしてユウは、ボロボロになったジェガンを残し、母艦へと帰っていった。

---
初出は、ガンダムエース2004年9月号。
Wikipediaにもありますが、単行本化されるまで間があったのは、途中で長期休載があったためです。

ユウ・カジマのエピソードでしたが、EXAMやマリオン関連の話は全く無し。
おもに、宇宙世紀0093年の第2次ネオジオン抗争(逆襲のシャア)でのユウが話の中心になっています。小説やゲームで「逆シャア」のユウは描かれても、マンガという媒体で描かれたのはこれが初めてですね
(そもそも、第2次ネオジオン抗争にユウが参加していたことについては、原作ゲームのエンディングで軽く触れられたのが始まり。小説版でその詳細な描写がされ、以後は小説版を基準にして描かれていきました)

雑誌掲載時からの加筆・修正は特に無いですが、機体や人物の簡単な補足が追加されました。
雑誌掲載時にあったエピソードの解説特集「設定補完ファイル」は未収録。
これは2Pの解説で、ここで第2次ネオジオン抗争についてと、ユウ・カジマ登場作品である「THE BLUE DESTINY」の解説がされていました。
単行本で収録されなかった代わりに、各話の設定を解説する巻末特集「Decode of LEGACY」にて、1P、紹介されていました。

◆EXAM関連の描写
ユウ・カジマというキャラクターにとって重要な要素であるEXAM関連。なぜ、省かれてしまったのだろうか。
私見ですが、単純に物語の構成の都合のためだと思います。
察するに、話の核として描きたいのは「逆シャア」の頃のユウ・カジマの描写。
EXAM事件は既に過去のこととなっているので、そこをあえて描写するのは避けたためではないでしょうか。
また、ガンダム専門の漫画雑誌であるガンダムエースの連載とはいえ、
読者が必ずしも「THE BLUE DESTINY」を知っているとは限らない。
そのため、知らない人のためにEXAM関連の描写して話を詰め込みすぎてしまうよりも、あえてバッサリと切ってしまったのではないでしょうか。
いずれにしても、作品のファンとしては少しガッカリなところです。

◆ギラ・ドーガの腕を掴んだのは誰か?
このエピソードにて、ユウのジェガンが大気との摩擦で飛ばされそうになるギラ・ドーガの腕を掴むシーンはありません。
現在では半ばオフィシャル化した、「ギラ・ドーガの腕を掴んだのは、ユウのジェガン」という設定。
なぜ、その描写が無かったのか?
「尺の都合」といえばそれまでですが、もうちょっと考えてみますと…
詰まる所「半ばオフィシャル」程度だったからではないだろうか?

このあたりの考察もしてみましたが、文章にすると長くなりすぎた&本題と外れるので、また後日改めてUPしたいと思います。
(このブログ、後回しが多いですね。自覚してます。すいません)

◆ユウ・カジマ 23才
先ほども書きましたが、GUNDAM LEGACYは単行本化に際し機体や人物の簡単な補足が追加されました。
それによって、一つ、注目すべき記述が。
なんとそこで、ユウとニムバスの年齢が初めて明記されたのです!

*(画像準備中)
人物について追加された補足の記述は、以下のとおり。
宇宙世紀0079年のシーン…
 『地球連邦軍 ユウ・カジマ中尉(23)』
 『ジオン公国突撃機動軍 ニムバス・シュターゼン大尉(24)』
宇宙世紀0093年のシーン…
 『地球連邦軍 ユウ・カジマ大佐(37)』

あれ?たしかユウの年齢は一年戦争時は20代中~後半だと設定資料集に書いてあったはずだが?
それですら明記ではなかったのに、LEGACYではハッキリと23歳と書かれました。
うーん、ちょっと若過ぎる気が…。
検証次第ではこの年齢でアリらしいですが。
(既に検証したサイトがありました。この辺についても後日)

ニムバスの「ジオン公国突撃機動軍」の記述について。
ニムバスの所属は、フラナガン機関。そのフラナガン機関がキシリア・ザビ少将の管轄。そしてキシリアは突撃機動軍のトップなの

でこの記述も当然といえば当然ですが、
こうやって明らかに明記された例は、LEGACYが初ではないでしょうか。

◆蒼いジェガン!?
漫画に登場する、ユウが乗ったジェガン。白黒印刷なのでわかいにくいですが、他のジェガンと比べ、若干色が濃いようです。
*(画像準備中)
色が違うのは、もしかして、ユウのジェガンが蒼いからなのか!?
…そうだとしても、LEGACY版アレンジと捉えるほうが妥当でしょう。

◆「人類は戦いをやめられないのか?」
※この項はちょっと本題からそれます
このエピソードで、ユウは「人類は戦いをやめられないのか?」ということについて自問しています。
先日紹介しました「バニングス・リポート」でも、バニングは同じようなことを自問していました。
2号機と3号機の戦いを目撃し、バニングは「人類の戦いの歴史は続くだろう」と、悲観的な結論に達します。
そして、その戦いの当事者であったユウ・カジマ。
彼もその段階では悲観的な様子でしたが、ニューガンダムから発した光につつまれ、
『「人は、変わってゆける」、そう信じられる希望がある』という結論に達します。
もし、バニングが第2次ネオジオン抗争まで生き残っていて、ユウと同じくあの光に包まれていたら、彼の結論も変わっていたのだろうか?
そんな勝手な妄想が膨らみます。
(…ええ、わかってますよ?あのバニングのエピソードは別にオフィシャルじゃないって)
ちなみに、「GUNDAM LEGACY」「バニングス・リポート」両作品について関連は特に無いと思われますので、
「人類は戦いをやめられないのか?」の自問というテーマが被ったのは、単なる偶然かと思います。

◆ハイブリッドな解説
巻末特集「Decode of LEGACY」の解説について。
1P程の解説になっていますが、その内容は漫画版(高山瑞穂版)、小説版、ギレンの野望シリーズの設定を複合したものであり、非常に興味深かったので検証してみます。

・所属部隊の解説
…所属部隊を『第11独立機械化混成部隊』と紹介。
…ジャブロー直属の実験部隊であること。
…2号機がジオンに奪取された以後は実質的に追撃・討伐部隊として機能していく
 →これらは小説版準拠の設定、表現。

・ユウ・カジマの乗機の解説
…トリアーエズ。『一説にはセイバーフィッシュ』と解説。
 →トリアーエズは小説版。セイバーフィッシュはギレンの野望
…RGM-79ジム。『ユウはこの機体でブルー1号機を倒した』という表記
 →漫画版。原作ゲームでは、このあたりの設定はあやふやである。小説版では陸戦型ジム。
…RGM-79Gジム・コマンド。『対ドム戦を想定した改良機』という表記→漫画版
 『一説には、蒼く塗装したユウ仕様機があった』という表現→ギレンの野望
…ブルー1号機、3号機→特記なし
…ジェガン。『アクシズを押し上げようとした』という表現→小説版

・人物紹介
…モーリン・キタムラ。『「蒼い稲妻」の二つ名を考えた』という表記
 →小説版。

「THE BLUE DESTINY」という作品が紹介・解説される場合、原作ゲームのみならずさまざまな媒体の設定が取捨選択・ミックスされる場合が多くある。
この巻末解説は、その好例といえましょう。

-----
その他余談。
単行本では「RECORD~」という数え方でしたが、雑誌掲載時は「episode~」でした。

こんなところでしょうか。久々に長い記事になりました。
もっと短く簡潔にまとめるつもりだったのに…。
しかも、漫画本編よりその他の話題の比率が高かったような気が…。

今回残した話題は2つ。
「ギラ・ドーガの腕を掴んだのは誰か?」
「ユウの年齢の検証と、既に検証したサイト様について」
これらについては、後日改めて取り上げます。


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「機動戦士ガンダム外伝 ブルーディスティニー」や一部ガンダム外伝系のネタを取り扱ってます。設定の考察よりも、設定の成り立ちや変遷を追ってます。まあ、参考程度に。

一年くらい更新を休んでましたが戻ってきました。

過去記事のは「カテゴリー」の「記事インデックス」、もしくはそれぞれの項目を参照。セガサターンソフト「機動戦士ガンダム外伝」の情報及び過去のブルー関連フィギュア、カード(2004年頃まで)についてはHP:蒼色一号を参照のこと。
メール:tdfuh1abg@hotmail.com(@は半角)
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