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機動戦士ガンダム外伝THE BLUE DESTINYについて取り扱うブログです。ブルーディスティニーに関するいろいろなコラムを書いています。

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2024-11-21-Thu 17:51:18 │EDIT
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2010-03-01-Mon 00:44:23 │EDIT
「覇王ゲームスペシャル 機動戦士ガンダム外伝」攻略本に
収録の小説版の特集も、今回で最終回です。

今回は「裁かれし者」の攻略本に収録の「蒼き騎士と眠り姫」で書かれた、
童話風のちょっと変わった短編を紹介。

さすがに原文丸写しはまずいなと思い、今まではこちらで
原文の雰囲気を損なわない程度に要約してきましたが、
今回は上手く要約できなかったので、
原文ママ引用し紹介。
(いろいろマズかったら対処します)

-----

『眠り姫』
昔、そんなに大昔ではない昔。
あるところに、一人のお姫様がいました。
お姫様は、騎士(ナイト)の力を強くする不思議な力をもっていました。
多くの騎士が、その力を自分の物にしようと、
お姫様に求婚しました。
しかし、お姫様は、騎士たちの誰とも結ばれることはありませんでした。
そしてある一人の邪悪な魔法使いによって、お姫様は、その力を奪われ、
永遠の眠りにつかされてしまったのです。
お姫様から奪われた力は、幾つかに分けられ、それぞれ蒼い武具の中に封印されました。

その蒼い武具を、偶然手にした2人の騎士がおりました。

一人は、お姫様と同じ国の蒼き騎士ニムバス。もう一人は、敵国の若き騎士ユウ。
2人は、お姫様の力を封じた蒼い武具に身を包むと、それぞれの理想と、
それぞれの正義のために、数々の戦いにおもむき、そして勝利を手にしました。

---

『2人の騎士(ナイト)と鍛冶屋』
蒼き騎士ニムバスは、お姫様の力を封じた武具で、あらゆる戦いに勝利することができました。
しかし、彼の心は勝利に酔いしれることはありませんでした。
「果たしてわたしは、自分の力で勝っているのか?」
その疑問が、常に彼を苦しめていたのです、やがて彼は、一つの答えを見つけます。
「自分と同じように蒼い武具を使うものと戦い、その者に勝利すれば、自分は真の勝者となれる!」と。

若き騎士ユウも、数々の戦いをお姫様の力を封じた蒼い武具とともに戦い抜き、今では国の英雄として、祭りあげられていました。
やがて彼は、戦いの中で、自分に力を貸してくれる姫の存在を知ることになります。若き騎士ユウは、そのお姫様を見つけ出し、永遠の眠りから救い出そう考えるのでした。

お姫様の蒼い武具に関係した、もう一人の男がいました。その男の名は、アルフ。腕のいい鍛冶屋でしたが、野心家でもありました。彼は、邪悪な魔法使いの弟子となり、お姫様の力を封印した蒼い武具の力の秘密を解こうとします。
「その力の秘密を手に入れられれば、さらに強い剣や鎧が作れるはずだ」
 彼は、さらに秘密にせまるために騎士ユウと一緒に冒険することにしました。

-----
*「蒼き騎士と眠り姫」では、
『眠り姫』のエピソードは冒頭より。
『2人の騎士(ナイト)と鍛冶屋』は、『2.マリオンⅡ』の直後に
挿入されています。

EXAMを巡る一連のストーリーが、西洋の童話風に語られています。
・目を引いたのが、この記述。
>「果たしてわたしは、自分の力で勝っているのか?」
>その疑問が、常に彼を苦しめていたのです、やがて彼は、一つの答えを見つけます。
>「自分と同じように蒼い武具を使うものと戦い、その者に勝利すれば、自分は真の勝者となれる!」と。
ニムバスのこのような心情が描かれたのは、このエピソードが初めてではないでしょうか。

・童話風エピソードでは原作ゲームで言うところの
『蒼を受け継ぐ者』あたりまでしか書かれていません。
最後の決着あたりも、童話風で読んでみたかった気もします。

…本編の締めの文章である
>眠り姫は歴史の中で完全な眠りについたのだ。
>それは、安らぎに満ちたものに違いない。
これは、ブルー本編と童話の両方をリンクさせて締めたのかなと
たった今ふと思った。

・ちょっと妄想を暴走させますと、
実はこのエピソードはターンAガンダムの時代(正暦)に語られている童話。
EXAMを巡る一連の事件が、長い長い年月を経て、形を変えて伝わって、
やがて童話となり…黒歴史に実際にあった事件とは知らず、
童話として語り継がれている。なんてね。

…「歴史の闇に葬られたはずの事件が、なんで語り継がれてんだ」だって?
そこを妄想するのがロマンなわけですよ。

----------
さて、原作ゲームのスタッフでもある
千葉智宏氏によって描かれた、もう一つのブルーディスティニー。
いかがだったでしょうか?

現在、広く知られるブルーのストーリーとは食い違う部分が多々ありますが、
描かれる機会の少ないニムバスやマリオンの視点が見られるのは、この小説のみ。
現在、この攻略本は絶版であり入手には古本屋を探すか
ネットオークション等を頼るしかないのが残念なところですが、
ブルーファンの方には是非読んでみて欲しいと思います。

関連記事…
『戦慄のブルー』編
その1
その2

『蒼を受け継ぐ者』編
その3
その4
その5

『裁かれし者』編
その6
その7
その8
その9

*各エピソードは全て、それぞれの主人公の
一人称視点で描かれており、
要約でもそれに準じています。
『戦慄のブルー』編のみ3人称視点で要約してあるのは、
単に要約の方向性が決まってなかっただけです。


やっべ、”その1”って去年の6月に書いてたのか…
随分時間かかってスイマセン…

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2009-12-18-Fri 01:05:40 │EDIT
『覇王ゲームスペシャル[81] 機動戦士ガンダム外伝Ⅲ 裁かれし者
 テクニカルガイドブック』
千葉智宏氏によるオリジナル短編小説「蒼き騎士と眠り姫」より
今回は4、5章をお送りします。

まともな更新は久しぶりですね。すいません。
-----
4.ユウⅠ

アルフとの通信により、オレは”EXAM”の秘密を知った。
そして彼の指示通り、ジオンのEXAM研究施設の全てを破壊した。
敵も機密保持のためデータを消去していたようで、
これでジオンに残る”EXAM”関連データは全て消え去ったことになる。
マリオンという少女の行方が気になったが、
「クルスト自身がマリオンに興味を無くしたためか
事故後の彼女の資料は残っていない」とアルフは答えた。
もう死んでるかもしれない?
…いや、恐らく生きている。オレにはそう思えた。

続いてモーリンからのブルー2号機発見の報を受け、
機体をコロニー外へと向かわせる。
モビルスーツでの、初めての宇宙戦。
そして、宇宙用装備であるビームライフルの使用も初めてだ。
不安要素は多い。
「ユウ、気をつけろ。ヤツはお前との直接対決を望んでいる。
 2機の接触と同時に”EXAM”は発動するが、
 お前のタイムリミットは5分だ。それ以内に勝て。
 それからビームライフルだが…」
オレに作戦を説明するアルフの口調が、次第に熱を帯びていく。
彼も、”EXAM”を巡る戦いの終局が近いことを感じているのだろう。
「勝ってくれ。そして、死ぬなよ。
 …オレは人付き合いが苦手で、
 他人の気持ちなんて全然理解できない、オールドタイプの代表みたいなもんだ。
 しかし、お前のことは気に入っているんだ。生きて、戻ってこい。
 …もちろん、貴重な戦闘データもたんまり頼むぞ!」

-----
5.ユウⅡ

宇宙港の真下で、オレはブルー2号機と対峙する。
2号機の蒼い機体は、両肩が真紅に染められていた。
「連邦のパイロット!こんな所まで追ってきてくれるとは、感謝の言葉も無い。
 どちらが本当に”EXAM”に認められた者か、ここで決着をつけてやる!勝負だ!」
奴からの通信と同時に、システム発動のランプが灯る。
時間は無い。
機体を加速させ2号機に仕掛けるが、
宇宙での戦いは奴のほうが一枚上手だった。
上下左右、360℃の全方位を活かした攻撃に、オレは翻弄される。
だが、負けるわけにはいかない。
乱射されるミサイル。
ビームサーベル同士のぶつかり合い。
”EXAM”の力を借りて、2機のブルーは激突する。



激戦の中、オレの放ったビームが2号機の左脚に命中した。
「直撃を受けただと!
 …貴様のようなヤツに、騎士である私が負けるわけがない!」
オレはとどめを仕掛けるが、敵機は異常な速さと反応で回避をする。
暴走か!
「ははっ、ますますマシンに力がみなぎってくるのがわかるぞ!
 やはり”EXAM”の真の力を呼び覚ますことができるのは、私なのだ!」
奴は機体への負担を無視した動きで、狂気に取り付かれたように3号機を攻め立てる。
これが、クルストの求めた”EXAM”の姿か!
やはり”EXAM”は狂気のマシンなのか!?
…しかし!
「マリオンが求めたのは、こんなものではないハズだ!」
「真の理想を持たぬ連邦の雑兵が、マリオンの名を口にするな!
 マリオンと私が作りあげた”EXAM”は、
 騎士である私にこそ相応しいのだ!」
「他人の犠牲の上に成り立つ理想や正義など、何の価値もない!」
2号機の振り下ろすビームサーベルを、こちらもビームサーベルで受け止める。
ビームのぶつかり合い。両機の力が拮抗する。
「マリオン…君の信ずるもののために力をかしてくれ!」
気がつくと、一人の少女が目の前に立っていた。
その手がオレの握る操縦桿をそっと後押しする。
これは幻覚か…?
次の瞬間、3号機のサーベルは2号機のサーベルを斬り裂き、
そのまま2号機をを袈裟切りした。
「なぜだ…”EXAM”に選ばれた騎士である私が、
 連邦の雑兵ごときに遅れを取らねばならぬのだ…
 このままでは死なん!お前も一緒に来てもらうぞ!」
爆発寸前の2号機が3号機に抱きつき、そして…
オレは巨大な光を見た。
その中に一人の少女がたたずみ、オレに満面の笑みをみせた…

宇宙世紀0080、1月1日。
月のグラナダで終戦協定が締結。
ここに一年戦争は終結した。
ブルーと”EXAM”システムがどうなったのか、
公式の記録からは見つけ出すことができない。
眠り姫は歴史の中で完全な眠りについたのだ。
それは、安らぎに満ちたものに違いない。


-----
※ 『宇宙世紀0080、1月1日~』からの記述は本編よりそのまま抜粋。

◆4.ユウⅠより
原作ゲーム3巻の第4話冒頭、及び第5話の冒頭に位置するエピソードです。
・アルフのツンとデレ
 千葉版アルフはクルスト並かそれ以上にマッド・サイエンティストですが、
 そんな彼の人間臭さを感じさせる描写があります。
 今までの冷徹なイメージから一変、ユウに対して本音を語るが、
 それでも照れ隠しから「もちろん、データも頼むぞ!」と言ってしまう彼はまさにツンデレ。
 また、自らをオールドタイプの代表と語るアルフ像は、
 皆川ゆか版小説のアルフに通じるものがありますね。

・ビームライフルについて
 地上でビームライフルを使うと周りの大気が燃え上がって周囲に余計な被害がでるから
 地上戦では使用できない、といった解説があります。
 というわけでビームライフルは宇宙戦用装備の扱いになってますが
 1stガンダムの頃からビームライフルは地上でバンバン撃ってるわけで
 この設定はちょっといらない気がします。

・シミュレーター(この項はちょっと本題から外れます)
 「MSによる宇宙での戦闘経験は、シミュレーターぐらいしかない」と語られます。
 このシミュレーターって、もしかして例の対ガンダムシミュレーターのことを指すのかな?
 …なんつって

 対ガンダムシミュレーター自体はゲームクリア後のオマケであるため、
 あのやり取りを正史として捉えるのはアリなのだろうか?
 最近はユウがアムロ&ガンダムにシミュレーター上で勝利したことが
 設定として記述されることが多く、
 また、設定資料集によると、ユウが勝利した様子を映した写真が存在しているようなので
 ブルーディスティニーの正史としては、ありえるようです。
 でも、いつごろ行われた対戦なのかという厳密な設定はありません。
 オマケ程度で明確な設定がないのなら、
 そこを突き詰めて妄想してみるのも楽しいかもしれません。

◆4.ユウⅡより
・画像より
 背後から放たれたビームをかわす3号機。
 高山瑞穂描きおろし、迫力のカットです。
 ボールもちゃんと描かれてますね。
 (よく見ると180㎜キャノン砲を装備したK型っぽいデザイン)

・ユウとニムバスとマリオン
 千葉版ニムバスはマリオンをパートナーと思っていた、というのは
 これまで語られた経緯より推測できますが、
 「マリオンと私が作りあげた”EXAM”」というセリフに、
 その思いの丈が表されています。
 そして、「”EXAM”は騎士であるこの私にこそ相応しい」というセリフに続きます。
 千葉版のニムバスは皆川版、高山版と違い、
 自己欺瞞でも自己正当化でもなく本気で騎士道精神に則っているため、
 正義のために二人で築き上げた”EXAM”は正義を執行する自分にこそ相応しく、
 それ以外の者…まして、理想を持たない雑兵ごときが使うのは
 絶対に許さない、といった感情がニムバスにはあったのではないでしょうか。
 ユウに1対1の決闘を申し込んだのは、そんな想い故なのかもしれません。

 ユウとニムバスの戦いは
 「マリオン、君の信ずるもののために力をかしてくれ!」
 というユウの問いに対しマリオンが答える形で決着します。
 ”EXAM”に選ばれたはずなのに連邦の雑兵に遅れをとってしまった、と思うニムバス。
 でも本当は、マリオンはニムバスを選んでおらず、
 彼がが負けたのは、マリオンはユウを選んだからだった。
 この事実を知らないまま死んだニムバスは、ある意味幸せだったのかもしれません。


あ、あと些細なネタですが
ニムバスの「直撃だと!この私が直撃を受けただと!」のセリフは
ギレンの野望にて、ニムバスの被撃墜時の
セリフで使われていましたね。

-----
これにて千葉版ブルーの物語、本編ははおしまい。

次回は、「蒼き騎士と眠り姫」の+αの部分である、
「眠り姫」「2人の騎士と鍛冶屋」の章を紹介。
ブルーの物語を童話風に描く、ちょっと変わった雰囲気の短編です。

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2009-11-04-Wed 23:36:50 │EDIT
『覇王ゲームスペシャル[81] 機動戦士ガンダム外伝Ⅲ 裁かれし者
 テクニカルガイドブック』
千葉智宏氏によるオリジナル短編小説「蒼き騎士と眠り姫」より
今回は第2、3章をお送りします。
-----
2.マリオンⅡ



わたしがクルスト博士の変化に気づいたのは、ほんの数日前。
いや、本当はずっと前から気づいていたのに、
否定していただけかもしれない。
実験がフラガナン機関の上層部に役立たずの烙印を押され、
精神的に追い詰められていく博士。
その心が、わたしの中に流れ込んでくるのだ…
 (ニュータイプは、なぜ高い戦闘能力をもっている?

 (戦うべき相手がいるから?)
 (それは、我々の事なのか?人類を滅ぼすために生まれたのか!?)
 (それならば、我々が利用してやろう)
 (”EXAM”で、ニュータイプに裁きを…)
わたしは人類に死をもたらす存在なの?
わたしが育てた”EXAM”は、いわばわたしのコピー…
このシステムが、効率的に人を殺すためにシステムだとすれば、
わたしは、やはり、死神なの…?

---
「どうしたマリオン。制御が甘いぞ!」
ニムバスが叫ぶ。
今は、実験に集中しなくては…
「加速が…私を殺す気か!」

殺す?わたしは、ニムバスを殺そうとしているの?

 ”コイツヲ コロスノカ?”
いいえ、イフリート改。違うわ!
 ”ダレヲ コロスノカ?”
 ”ワタシハEXAM ママハボクニコロシカタヲ オシエテクレル”
 ”モット、データヲ…ママノヨウニ ウマクコロセル ヨウニナルタメニ”


違う、違う!
否定するたび、”EXAM”という存在はわたしに重くのしかかる。
わたしが育て上げた怪物。
わたしの分身。
死神であるわたし自身。
わたし、わたしは…
「いやー!」

-----
3.アルフ

「そして、”EXAM”は完成したわけだ」
ジオンにブルー2号機が奪われ、それを追ってこの実験コロニーにやってきたわけだが…
そこでオレは、”EXAM”の謎を解明する、重大な記録を手に入れた。
・”EXAM”は、ニュータイプの少女・マリオンの精神をそのままコピーして完成した。
 そして、精神が吸収されてしまったかのように、彼女は意識不明となってしまった。
・人類とニュータイプが敵対すると考えたクルストは、ニュータイプと戦うための
 殺戮マシンの開発を目指した。
 高い戦闘能力を発揮する”暴走”は、そのために仕組んだものだった。
・”EXAM”は、ニュータイプのサイコミュに反応して暴走するようになっていたが、
 同じ”EXAM”同士で戦っても、お互いをニュータイプと誤認して発動してしまう。

EXAMは、通常、50%しか機能していない。
100%機能させると制御がきかない、暴走状態になるからだ。
だから、オレはブルー1号機とユウが戦った事件の後、博士に内緒でリミッターを装着した。
こいつがあれば、”EXAM”を5分間だけ暴走することなく
100%機能させることができる。
オレが自分で整備したブルー1号機と3号機にはリミッターがあるが…
奪われた2号機には、それが無い。
もし2号機と3号機が戦うことになったら、お互いの”EXAM”が発動するだろう。
戦闘能力は互角だが、リミッターのある3号機は、活動時間が限られてしまう。
機体とパイロットを守るためのものが、あだとなってしまったか…。

こいつは問題のあるシステムだが、改良次第では化けるだろう。
そして…コンピュータをニュータイプ化させるという発想は面白い。
…同じことを人間に応用できないだろうか?
人間の脳も、一種のコンピュータだ。
機械をニュータイプ化するより、脳そのものにニュータイプのデータを
書き込んでやるこが可能ならば?
…やはりオレは天才だ。
ジオン側の”EXAM”のデータは完全に抹消し、
2号機を倒したら、残された”EXAM”は3号機のみ。
これで研究を続けられる。
クルスト博士、あなたの遺志を継ぐつもりはありませんが
あなたの遺産は、うまく使わせてもらいますよ。

-----
◆2.マリオンⅡより
EXAM開発中の事故、その真相。
自分は死神なのか?というマリオンの苦悩が描かれます。
上画像の、イフリート改を見上げて微笑むマリオンと対比するように、
我が子ともいえるイフリート改…そして”EXAM”が殺しの技術を求める辛辣な描写があります。
マリオンの絶望の深さが窺えます。

◆3.アルフより
原作ゲーム、ステージ3と4の間に位置するストーリーですね。
”EXAM”の真実に気づいたアルフ。
そして、『機動戦士Zガンダム』でお馴染みの”強化人間”へ至る発想の、原点をもちます。
アルフは、戦後、強化人間プロジェクトに関わるという設定がありますが、
それに関わる描写ですね。
人間の脳にニュータイプのデータを書き込む、なんていう
クルストも真っ青なマッドな発想。
千葉版のアルフはかなりトばしてます。
(それでいて、次の章ではツンデレのデレな面が見えたりしますが)

話は少しそれますが…
皆川ゆか版のアルフ像は千葉版とよく似ていますが
一つだけ、決定的に違うのがこの"強化人間”という発想です。
皆川ゆか版のアルフは、ニュータイプに対しある種のロマンを感じており、
ニュータイプは素晴らしいものであると捉え、自分の憧れであるとする描写があります。
きっと、そんな皆川版アルフなら人工的にニュータイプを作るという発想は
唾棄すべきものとして映るんじゃないかな?なんて考えます。

さらに余談。
”EXAM”はニュータイプのサイコミュに反応する、との記述があります。
つまり、ニュータイプがサイコミュを介して兵器を使用した際に
EXAMは反応するのであって、
ニュータイプそのものを感知するわけではない、ということでしょうか。

たとえば、ニュータイプが通常兵器しかないMSに乗って
ブルーと対峙してもEXAMは反応しない、ってこと?
つまり、ガンダム&アムロ相手ではブルーは暴走しない…?
あれ?でも、ニュータイプ自身が発する感応波にEXAMは反応する、という
設定もどこかで見たことがあるような…
後日詳しく調べてみます。


-----
次回は第4章『ユウ』をお送りします。


-----
◆近況とか
今更ながら『銀河英雄伝説』にハマりました。
艦隊戦の駆け引き、政治の駆け引きがものすげー面白い。
面白いとは聞いていたが…ここまでとは!
こんな名作を今までスルーしていた自分が恨めしい。
(いつもそんな事言ってる気もするが)
現在、第40話まで見ました。
長編だとは聞いてますが、これ、あと何話あるんだろ?

え?あとたった70話?んでもって外伝もあるって?
…ゴクリ

拍手[0回]

2009-10-24-Sat 00:44:29 │EDIT
『覇王ゲームスペシャル[81] 機動戦士ガンダム外伝Ⅲ 裁かれし者
 テクニカルガイドブック』






千葉智宏氏によるオリジナル短編小説「蒼き騎士と眠り姫」が収録されています。
全5章+α。
マリオン、アルフ、ユウの視点で構成、
高山瑞穂による書き下ろしカット&イラストがあります。
今回は第1章をお送りします。
-----
1.マリオンI

私の名は、マリオン・ウェルチ。
人々から”ニュータイプ”と呼ばれる存在。
ジオン軍のフラナガン機関に所属する、軍人だ。
…といっても本当の戦闘を経験したことは、無い。
この機関で、私はクルスト・モーゼス博士の下、
”EXAM”というシステムの開発に携わっている。

これまでニュータイプ関連の兵器といえば
その戦闘能力を最大限に活かすための、ハードの開発がメインだった。
それに対し、この”EXAM”システムは一般の兵士が操縦しても
ニュータイプと同じ動きができるよう、
マシンを制御するためのOSを開発することを目的としていた。
もともと、ニュータイプが高い戦闘能力を示す要因は、
理解力と認識力の高さにあると考えられている。
確かに、私はビームや弾が来るちょっと前に、”分かる”ことができた。
それをコンピュータに教えるのが、私の仕事だった。

---
表向きは廃棄処分とされるコロニーの中、
”EXAM”搭載機であるイフリート改の実験は行われている。

「くっ、これしきのこと!」
イフリート改の急旋回。その強力な遠心力に、ニムバスは耐えている。
そして、彼の必死さが、わたしにも伝わってくる。
”イフリート。いい子だから、旋回速度を下げて。
 慌てなくても、ちょっと上体をひねれば、怖いミサイルはあなたの横をすりぬけるわ”
わたしのサイコミュ・コントロールを受け、イフリート改は指示に従う。
”いい子ね。今のタイミングを忘れちゃだめよ”

それは、何を知らない赤ん坊を育てるのにも似た作業。
私の動きをどんどん吸収していくイフリート改は、
私の子供のようなものだった。

---
私は本当は、戦争には反対。
でも、このシステムが完成すれば、ジオンをはじめ
宇宙に住む人々が、平和を勝ち取ることができる。
それに…
博士は、貧しい宇宙移民の子だった私を引き取り、大切に育ててくれた。
世界から戦争を無くすため。そして、博士に報いるため。
私は希望と理想をもって、この研究に従事していた。


-----
◆1.マリオンIより
マリオンの視点で語られる”EXAM”開発前史。
EXAMシステムがどういうものかが詳細に語られています。
技術的な面まで言及しているあたり、
彼女がどれだけ研究について熟知していたかが伺えます。

この章で語られたEXAMに関する解説をまとめてみました。
・EXAMシステムの使用には専用の大型コンピュータと、冷却システムが必要。
 ゆくゆくはOS化して、通常のMSのコンピュータにインストールするだけで
 使えるようにするのが目標である。

・モビルスーツは、人間的な動きを再現するためのさまざまな動きがプログラムされており、
 パイロットは状況にあわせて適切な動きを指示する。
 マリオンの仕事は、それをさらに適切なものにすること。
 サイコミュを通して”EXAM”システムにニュータイプ的な動きを指示し、
 それを記憶させていく。
 例えば”ミサイルを避ける動作”なら、
 通常はパイロットが避けることを目的としてMSに方向を指示し、
 MSはそれに従って移動をすることで、結果的に”避ける”という動作が完了することになる。
 ”EXAM”の場合は、パイロットからの指示を「ミサイルを避けるためのもの」であると
 瞬時に理解・判断した上で、より適切な避け動作を行うことができる。

→この辺は、デベロッパーズでミオンとテオがやっていた作業がイメージとして近いかもね。

-----
次回は『2.マリオンⅡ』をお送りします。

拍手[0回]

2009-10-07-Wed 18:44:30 │EDIT
『覇王ゲームスペシャル[71] 機動戦士ガンダム外伝Ⅱ 蒼を受け継ぐ者
 テクニカルガイドブック』
より、千葉智宏氏によるオリジナル短編小説「蒼き騎士の探求」をお送りします。
今回はエピソード3、4です。

-----
3.対決II

カリフォルニアベースに到着した時には
友軍は既に全滅したか退却してしまったようだが、私にとっては好都合だ。
これで、誰にも邪魔されず戦うことができる。
ミノフスキー粒子が充満した戦場を突き進み、ついに奴を発見した。
全身を蒼く塗装したモビルスーツ…。
間違いない。
クルストは自分のマシンを蒼く塗装するのが趣味で、
イフリート改も蒼く塗装された。
ただし、イフリート改は両肩のみ赤く塗られている。
私の倒した敵の返り血を示す、深紅だ。
連邦の蒼き死神!貴様の返り血も、そこ加えてやる!
同じ"EXAM"同士が共鳴したのか、マシンが低い唸りを上げ、
ついに両機は激突した!
ミサイルの応酬、そして近接での攻防。
敵のパイロットも、なかなかやるようだ。
"EXAM"の得意とする機動力を活かした高速戦闘が繰り広げられる。



…決着を着けたのは、敵機の攻撃だった。
ビームサーベルの三段切りをヒートサーベルで受け流したものの、
大きなダメージを受け、機体は片膝を着いた。
勝ち誇るように近づく、連邦の蒼い機体。
「ここで死ぬわけにはいかんのだ!」
その時、私の叫びに応えるように
イフリート改は腕を上げ、グレネードを発射した!
弾は敵機の頭部を吹き飛ばし、
機体は私の意志と関係なく撤退を開始した。
私に、騎士としての誇りを捨ててまで生き残れというのか!?
…よし、わかった。
お前を作り出したクルストに復讐の鉄槌を食らわすまで、
生きのびてやろうじゃないか。
私は機体から脱出した。
イフリート改はそのまま前進し、数百メートル先で爆発した。

数時間後、部下に救出された私は
連邦のEXAM研究所を発見したとの報を受ける。
私の心に一筋の光が差し込んだ。
「ついに見つけたぞクルスト…首を洗って待っていろ!」

---
4.襲撃

研究所の襲撃は、あっけなく終わった。
護衛のモビルスーツはなく、
EXAMマシンにもパイロットはいなかった。
クルストを発見した時、奴は銃撃戦による負傷で、既に虫の息だった。
久々に会ったクルストは、昔と変わっていなかった。
その目に宿った狂気を除けば…。
「ニムバス!貴様、なぜこんなことを!」
「あなたは祖国を裏切ったのだ。私は、裏切り者を許さない」
「バカな男だ。自分の狭い視野でしか、物事を考えていない。
 私は人類のことを考えて、亡命したのだ」
多量の出血により、博士は顔が蒼白になっていく。
しかし、瞳に宿る狂気の炎は、さらに強く燃え盛っていった。
「連邦に勝利をもたらすことが、人類のためだと言うのですか!?」
「その考えが『狭い』というのだ。
 ”EXAM”は、単なる戦争の道具ではない。
 ”EXAM”は、人類に残された最後の砦。これなくしては、人類は滅んでしまうのだ。
 …君には、分かるはずもない。
 あのマリオンですら、理解できなかったのだ。
 …いや、本当は分かっていたのかもしれん。だから、あの日…」
「暴走事故のことか」
「そうだ。あの暴走により、全てはうまくいった。
 アレを再現することが、システムの完成を意味するのだ。
 イフリート改に搭載されたシステムの完成度は高かったが、
 私の望む真の目的には、合わないのだ。
 …連邦に来て、システムは完成直前まで至った。
 ”ブルー”に搭載した”EXAMシステム”なら、
 真の敵と戦うことができる。
 …ニムバスよ。”EXAM”の真の力と目的を知りたいなら、
 あのブルー2号機に乗るがいい。
 きっと”EXAM”が、お前に正しい道を示すだろう…」
そしてクルストは、息を引き取った。

貴様の望み通り、ブルー2号機は私がいただこう。
だが、貴様の目指した真の目的のためとやらには、使わない。
私は、私の信念に従って戦うのだ!
…そう、私はジオンの誇り高き騎士、ニムバス・シュターゼン。
誰のためでもない。信念の命ずるままに戦うのだ。

-----
※当時の表記に合わせて
”キャリフォルニア・ベース”は
”カリフォルニアベース”としています。
また、原文のセリフを要約してまとめたので
クルストが虫の息の割には饒舌に見えちゃうのはご容赦ください。

◆3.対決IIより
・ブルー1号機へのとどめ
  原作ゲームではニムバスの「マシンの性能差か…しかし!」のセリフと共に
 グレネード弾を発射し、頭部を破壊していましたが、
 短編小説版ではイフリート改…というか”EXAM”の意思で攻撃したようです。
 これはつまりマリオンの意思がやったことなのだろうか?
 ニムバスを助けたかったのか、
 それとも”EXAM”同士の戦いを続けさせることで
 システムの完全な消滅を望んだがゆえの行動だったのか?
 考え出せば詮無きことですが、そんな妄想をしてみるのも楽しいかと。

◆4.襲撃より
・ニムバスが2号機を得た経緯について、他メディアとの比較。
  この件は原作ゲームでは詳しく語られず、アルフからの報告で終わっていました。
 小説版では、おそらく自分が殺されることも分かった上で
 クルスト自身が2号機と研究所の所在をニムバスにリーク。
 2号機をニムバスに託すため、フル装備状態で待機させていました。
 これは連邦での研究に限界を感じたことと、
 EXAMを真の目的にユウは適さないと判断したための行動でした。
 漫画版ではダイジェストでしか描かれていませんが、
 クルスト自身はニムバスが”EXAM”マシンを使用することを
 危惧していた様子でした。
 今回の短編小説版では、研究所の襲撃は予想外としても、
 ニムバスにブルー2号機を託した、という経緯は小説版に似ている印象を受けます。

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次回はいよいよ終盤。
『裁かれし者』より、『蒼き騎士と眠り姫』をお送りします。
お楽しみに。

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その他の話
・『機動戦士ガンダム カタナ』連載開始!
『連邦愚連隊』の曽野由大xクラップスによる新連載開始です。
先月発表された仮タイトルは「機動戦士ガンダム刀 実録0084」でしたが、
上記のように決定しました。

宇宙世紀0084年。
一年戦争の傷跡深く残る地球では
戦後復興も遅れ、経済格差が広がりつつあった。

地球連邦軍 対破壊工作特殊捜査旅団
”BGST(バーゲスト)”が
連邦系カジノの現金輸送車の襲撃事件を追う中、
一人の少年が部隊の前に表れる…。

部隊は通称”任侠部隊バーゲスト”と呼ばれ、

まるでヤクザ映画のノリ。


ええ、どうみてもヤクザですw


主人公、イットウ・ツルギ。
少年のように見えるが、
実は連邦軍少佐の22歳。
かつてのバーゲスト隊長の息子である。


迫力の戦闘シーンも健在!

存続の危機が危ぶまれる部隊を
立て直すヤクザの若頭の人情モノ、ってな感じで話は進みそうです。
今後の展開に期待してます!

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その他近況とか
・モンスターハンター3
 ガンランスがないのがやっぱり物足りない。
・アイドルマスターDS(ディアリースターズ)
 なにこれ超おもしれぇ。

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自己紹介:
「機動戦士ガンダム外伝 ブルーディスティニー」や一部ガンダム外伝系のネタを取り扱ってます。設定の考察よりも、設定の成り立ちや変遷を追ってます。まあ、参考程度に。

一年くらい更新を休んでましたが戻ってきました。

過去記事のは「カテゴリー」の「記事インデックス」、もしくはそれぞれの項目を参照。セガサターンソフト「機動戦士ガンダム外伝」の情報及び過去のブルー関連フィギュア、カード(2004年頃まで)についてはHP:蒼色一号を参照のこと。
メール:tdfuh1abg@hotmail.com(@は半角)
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