今回紹介するのはコチラ。
Katoki Hajime DESIGN&PRODUCTS
APPROVED GUNDAM
(カトキハジメ デザイン アンド プロダクツ
アプループド ガンダム)
◆2003年までにカトキハジメが手がけた
MG、HGUC、GUNDAM FIX FIGURATION(以下、GFF)などの
製品(プロダクツ)と、その開発用画稿を収録したデザインワーク集。
カラー写真で多数収録し、カトキ氏の関わった製品のカタログともいえる内容となっています。
2003年9月24日、角川書店より発売。
◆本書のための特別企画として
実際の製品と同一の手法でカトキ氏が監修しモデラーがつくり起こした模型が掲載、
(本書では”トライアル・モデル”と呼ばれる)
そのトライアル・モデルの一つにブルーディスティニー1号機が取り上げられました。
と、いうわけで当ブログ的にはこれが本題。
GFF版とは違う、もうひとつのカトキ版ブルー。
こちらをピックアップしてみたいと思います。
※以下、次のように略称を表記します。
”FIX版”…
画集『GUNDAM FIX』収録のイラスト
”GFF版”…フィギュア『GUNDAM FIX FIGURATION』
”トライアル版”…本書収録の作例。新商品のためのトライアルモデル、という意味ではない。
こちらがトライアル版のブルー1号機。
MG陸戦型ガンダムをベース、MG陸ガン用ブルーディスティニー改造キットを使用し
FIX版ブルー1号機の立体化を目指して製作されました。
(そのはずなのに、なぜ襟が黄色になったんだ?)<訂正>
画集GUNDAM FIXでは、ちゃんと黄色でした!立体化にあたり、頭部をカトキ氏が新規に描き起し。
同じくFIX版では不明瞭だった武器、シールドについても
今回のために描き起こされました。
マシンガンは、
通常の100mmマシンガンにサプレッサーをつけたような
デザインになっています。
このようにしたカトキ氏の意図を知りたいところですが、
残念ながら詳細な表記はなく、単純に「ライフル」と解説されていました。
(※余談1)
なお、本書の出版された当時(2003年)は
GFF版ブルーについての情報は一切無く、
この作例の4年後(2007年)にGFF版は発売されました。
GFF版とトライアル版の関連は不明ですが、
同じカトキ氏監修ということで共通する意匠は多くみられますね。
(とりあえず、このトライアル・モデル=GFF版の試作、
というわけでは無さそうです)
本書のトライアル・モデルは
Ex-Sガンダム、ゼク・ツヴァイ、プロトタイプガンダム、
ガンダム、G3、G04、G05、ブルー1号機、ウイングガンダム。
それぞれの模型写真を数点で1~2ページ、
そしてカトキ氏の指示書きがモノクロページで小さく載っており、
それぞれの担当モデラーのコメントが収録されています。
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そのほか、本書の内容を紹介します。
◆GFFはもちろんMGやHGUCの開発用画稿も多数収録。
画稿にはカトキ氏の指示書きもしっかり載っています。
(紙面の都合上、文字が読み辛い箇所がありますが)
カトキ氏がどういった意図でリファインしたのか。
そして、どういった所に気を遣っていたか。
丁重な仕事ぶりが伺える興味深い資料となっており、
「模型誌に載る開発画稿だけじゃ満足できない!」
「もっと詳細に画稿を見たい!」といった方にはオススメの内容です。
(といっても出版が2003年なので最近の画稿はありませんが)
◆2003年当時の最新ガンダムゲームPS2版『機動戦士ガンダム めぐりあい宇宙』について
カトキ氏を交えた開発者インタビューもあり。
(ガンダム4号機、5号機のリファインを始めパッケージデザインにカトキ氏が関わっていたため)
サンライズとバンダイビデオゲーム事業部の連携、
『機動戦士ガンダム外伝』シリーズ、『ジオニックフロント』を経て
『宇宙、閃光の果てに…』で4号機、5号機が登場するに至った経緯、
またそのリファインについてが語られています。
(『THE BLUEDESTINY』についての言及もありしたが、
特に大きく取り上げていたわけでもなかったので割愛)
◆HGUCシリーズの立ち上げについて、
当時ホビー事業部のガンプラ担当だった菊池智啓氏とカトキ氏のインタビューも収録。
きっかけとなったHGグフカスタムに始まり、
シリーズコンセプト確立への紆余曲折、試行錯誤についての
興味深いインタビューが掲載されています。
ところで、カトキ氏(うじ)と菊池氏(うじ)といえば
なイメージだったので、このマジメな対談には
少々面食らってしまった(失礼)
※注!これら5枚の画像はアプルーブド・ガンダムに収録されていません。
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と、いうわけで『アプルーブド・ガンダム』の紹介でした。
ガンダムプロダクツにかけるカトキ氏とバンダイの各事業部の
努力と情熱が伺える一冊。
現在、出版より7年がたちその間にも多くのプロダクツが世に出ています。
2004年以降の画稿を収録した続刊を期待したいところです。
(おかしい…。キクチン画像がやけに多かった気が…)
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※余談1
「ブルー1号機の使用したマシンガンにはサプレッサーがついている」
なんて設定を見かけ、その初出はどこなのだろう?と思い
本書に行き当たったものの、詳しい記述はありませんでした。
今のところ…
『デザイン…アプルーブド・ガンダムのトライアル版が初出。
設定…カードビルダー版が初出。
トライアル版から流用したデザインであるGFF版ブルーのマシンガンを
サプレッサー付きのものと解釈して設定付けたのがカードビルダー』
というのが私的結論。
まあ、そもそも「サプレッサー付き」がどこまでオフィシャルなのかは
わからないんだけどね。
ブルー1号機とサプレッサーについては
以下の過去記事を参照のこと
◆唸れ、サプレッサー!
その1その2その3※余談2
トライアル・モデルの企画について私的な感想。
このトライアル・モデルは本書のための企画として実際のカトキ監修の製品と
同じ手法で作られた模型である、というのは前述の通り。
本の宣伝でもそれをウリにした広告が当時のガンダムエースに載っていました。
ですので、開発画稿からどのような経緯で立体化されたかを
トライアル・モデルを使って詳細に解説しているのかと思っていましたが、
実際はそこまで詳細な内容ではありませんでした。
担当モデラーのコメントからそれらは伺えそうですが、
そこまでプラモの作成に熟知していない自分としてはいまいちピンと来ず。
トライアル・モデルは確かに格好良かっただけに、そこが残念でした。
完成品をいきなり見せるんじゃなくて、それまでの
どれだけトライ&エラーがあったかを写真つきでだな…(以下略)
さらに言うならば、このトライアル版ブルー1号機について知ることのみが
この本の購入動機だっただけに、ブルーの画稿が小さく数点しか載っていなかったのも残念でした。
さらにさらに言うならばもっと完成品のブルーのために
ページと写真をを使ってだな…(以下略)
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